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HPのITサービス管理クラウド「Service Anywhere」、アシストが販売
HPの他のSaaS製品も取り扱う方針
(2014/8/1 14:35)
株式会社アシストは1日、日本HPのSaaS製品の販売を開始した。まずはITILベストプラクティスに基づいたITサービス管理ソフトのSaaS版「HP Service Anywhere(以下、HP SAW)」の販売・サポートを始める。今後、ほかのHP SaaS製品も取り扱う予定。
HP SAWは、オンプレミス型のIT管理ソリューション「HP Service Manager software」をベースに、IT運用管理に必要不可欠なインシデント管理、問題管理、変更管理、構成管理、サービスデスクなどの主要機能をSaaS型で提供するもの。SaaS型ならではの導入・運用の容易さを特長に、中堅中小企業へ訴求する。
今回、HP SAWはアップグレードされ、ビッグデータプラットフォーム「HP HAVEn」に対応している。HP HAVEnは、膨大な量の分散データを処理する「Hadoop/HDFS」、すべての情報をインデックス化する「Autonomy IDOL」、大容量データをリアルタイム分析する「Vertica」、ログデータを収集・統合する「Enterprise Security」、そのほか多くの対応ソフト「nApps」で構成されるビッグデータプラットフォームで、構造化データ、半構造化データ、非構造化データを含むさまざまなデータソースから情報を抽出・検索・活用できるようにするもの。
HP HAVEnに対応することで、ITサービス管理にビッグデータを適用する形だが、どのようなメリットが生まれるのか。日本HP HPソフトウェア事業統括 ITマネジメント統括本部長の村瀬将思氏は「一見、ビッグデータとは無縁の領域に思えるが、実はITサービスデスクは問題に対応するためにログ、テキスト、メールと多量の非構造化データを扱う。HAVEnに対応することで、必要な情報をIT担当者やエンドユーザーにプッシュし、プロアクティブな問題対処が可能になる」と話す。
具体的には、「ナレッジの自動提案」「ホットトピック分析」「ダッシュボード」「ソーシャルコラボレーションの促進」などが実現する。
ナレッジの自動提案では、エンドユーザーがHP SAW上で社内システムに関する問い合わせ内容を入力中に、例えば、HP SAWのFAQ検索機能が自動的に解決策候補を提示してくれる。プリンタについて問い合わせたい場合、「プリンタ」と入力した時点で、サポート内容やFAQ、ユーザーの質問といったナレッジから関連するものがプッシュ表示されるといった具合だ。
「問い合わせ前の解決を増やし、ヘルプデスク担当者の負担を減らせる。オペレータにも同様にナレッジが自動提案されるので、対応の属人性を排除しつつ、迅速な回答が可能になる」(日本HP HPソフトウェア事業統括 プリセールス統括本部 Opsプリセールス部 コンサルタントの竹澤拡子氏)。
ホットトピック分析は、ナレッジやFAQ検索の利用状況を解析し、エンドユーザーが困りがちな点はどんな問題なのかを探り出して可視化。これを基に、FAQの拡充や情報へ到達しやすくするための計画が立案できる。
膨大な構造化・非構造化データの中から、IT管理者やエンドユーザーが本当に必要とする価値ある情報を迅速に見つけ出すために、ビッグデータ解析が活用されるというわけだ。
Service Anywhereは、一からクラウドに最適化したサービスとして、2013年5月より国内提供が開始された。当初よりアシストは検証を行っており、今回正式に取り扱いにゴーサインを出した格好。日本HPにとっては、HP Service Anywhereの初の国内販売パートナーとなる。今後、直販、パートナー販売の両面で拡販を進める。
アシストがなぜHP SaaS製品の取り扱いを決めたのか。アシスト 執行役員 システムソフトウェア事業部長の田畑哲也氏は「HP製品は単一サービスではなく総合的なソリューションとして提供できるほか、グローバルでの豊富な実績があり、既存ノウハウの活用が可能になっている。ひいてはお客さまの満足度を最大化できると判断したため」と説明する。
アシストは販売、一時サポート、カスタマイズ支援、オリジナルドキュメント、HPへのエスカレーションを担当。今後、ほかのHP SaaS製品も取り扱う方針で、「アシストの各種ソリューションやこれまでの運用ノウハウも付加して、オンプレミス型・SaaS型を組み合わせ、お客さまの運用強化に貢献する」としている。
HP SAWの販売価格は、固定ユーザーライセンスが管理者一人あたり年間17万9000円(税別)から、同時ユーザーライセンスが管理者一人あたり年間35万9000円(同)から。