ニュース
富士通の2014年度第1四半期連結決算、増収増益で黒字転換
(2014/8/1 00:00)
富士通株式会社は31日、2014年度第1四半期(2014年4月~6月)の連結業績を発表した。
それによると、売上高は前年同期比6.9%増の1兆686億円、営業利益は前年同期の107億円の赤字から、72億円の黒字に転換。経常利益は同63億円の赤字から、104億円の黒字に、当期純利益は同79億円の赤字から、61億円の黒字となった。
なお、今回の決算発表からIFRS(国際会計基準)を適用している。
富士通 執行役員常務の塚野英博氏は、「第1四半期としては、2010年度以来の売上高1兆円超えとなった。また若干の赤字になるとみていたが黒字を達成した。国内ビジネスが堅調に推移し、特にPCが計画を大幅に上回る実績となっている。海外ビジネスも為替の追い風を受けている。携帯電話の構造改革効果もあった」などと総括した。
また、「不採算案件をいかに無くすかが課題であり、欧州でも不採算案件の撲滅を進めている。国内でも確実に稼げる体制ができている」などとした。
テクノロジーソリューションは増収減益、大型投資の影響で
セグメント別業績では、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比4.5%増の7080億円、営業利益は同20.7%減の114億円。そのうちサービス事業は売上高が同4.6%増の5805億円、営業利益が同21.1%減の131億円。サービス事業のうち、ソリューションSIの売上高は同6.1%増の1939億円、インフラサービスの売上高は同3.8%増の3865億円となった。また、システムプラットフォームは、売上高が同4.0%増の1275億円、営業損失は前年同期の22億円の赤字から5億円改善したものの、17億円の赤字となった。そのうち、システムプロダクトの売上高は前年同期比5.4%増の501億円、ネットワークプロダクトの売上高は同3.2%増の773億円となった。
「下期投入の大型サーバーやネットワーク基幹装置の開発投資があり、それが減益に影響している。サービス事業は計画通りの進ちょく。国内はSIを中心に増収。海外も好調である。また、システムプロダクトは、国内はソフトウェアが堅調、海外は欧州を中心にIAサーバーが伸長した。ネットワークプロダクトは国内を中心にLTEの需要が堅調だった」(塚野執行役員常務)などとした。
携帯電話、PCが大幅増
ユビキタスソリューションは、売上高が前年同期比24.5%増の2689億円、営業利益は前年同期の170億円の赤字から、87億円の黒字に転換した。
そのうち、PCおよび携帯電話の売上高が前年同期比30.8%増の1864億円、モバイルウェアの売上高が同12.4%増の824億円となった。
「PCは、前年同期の2けたの赤字から、2けたの黒字に益転。計画も大きく上回っている。国内、海外ともにWindows XPからのリプレースが続いているのが理由。PCの販売価格が安定していること、調達コストダウンなどのプラス効果もある。消費増税の反動の影響はなかったが、足元の受注は徐々に弱まってきている」とした。
また、「携帯電話は、前年同期の3けたの赤字から益転した。要因は、増収およびコストダウン効果、工場再編やリソースシフトなどの構造改革効果、品質安定化に対策コストの減少が理由。また、今年5月に発売した新製品が販売増に貢献している」という。だが、その一方で、「富士通はスマホのビジネスに固執しているわけではない。将来のIoTの時代において、無線の技術は重要な技術になる。箱を大切にしていくわけではなく、無線の技術を大切にしている。この分野は3年に1回大きな変革が起きる。そのなかで無線事業をどう生かしていくかを考えていく」とも語った。
デバイスソリューションは、売上高が前年同期比7.0%減の1352億円、営業利益は同53.3%減の33億円。そのうち、LSIの売上高は同11.1%減の690億円、電子部品は同3.0%減の663億円となった。
「LSIはマイコン・アナログ事業のスパンションへの譲渡影響、画像系需要の低調が原因。電子部品は新興国ビジネスの低迷が影響した」という。
通期業績見通しは据え置き
一方、2014年度の通期業績見通しは、売上高が前年比0.8%増の4兆8000億円、営業利益は同25.6%減の1850億円、税引前利益は同17.9%増の1900億円、当期純利益は同10.4%増の1250億円と、計画はそのまま据え置いた。
セグメント別業績見通しでは、テクノロジーソリューションの売上高が前年比1.4%増の3兆2900億円、営業利益は同2.1%増の2380億円。そのうちサービス事業は売上高が同1.2%増の2兆6600億円、営業利益が同2.4%増の1780億円。サービス事業のうち、ソリューションSIの売上高は同1.0%増の9300億円、インフラサービスの売上高は同1.4%増の1兆7300億円となった。また、システムプラットフォームは、売上高が同2.3%増の6300億円、営業利益は同1.3%増の600億円となり、そのうち、システムプロダクトの売上高は、同2.7%増の2800億円、ネットワークプロダクトの売上高は同2.0%増の3500億円とした。
「サービス事業は国内の受注状況が堅調。システムプロダクトおよびネットワークプロダクトも足元の受注は堅調。新機種投入も含めて、下期に偏る傾向があるが、前倒しでしっかりと収益を獲得したい。特にネットワークプロダクトは北米での新機種更改で足踏みしたため、これを下期に刈り取りたい」と述べた。
ユビキタスソリューションは、売上高が前年比6.7%減の1兆0500億円、営業利益は黒字転換し40億円の黒字。そのうち、PCおよび携帯電話の売上高が前年比9.9%減の7200億円、モバイルウェアの売上高が同1.2%増の3300億円とした。
「第1四半期はPCが予想を上回ったが、第2四半期以降は需要の停滞感があるため、年間510万台の計画は据え置いた。携帯電話も310万台の販売計画には変更がない。台数目標については堅く、保守的にみている」とした。
デバイスソリューションは、売上高が前年比1.6%増の6100億円、営業利益は同133.3%増の270億円。そのうち、LSIの売上高は前年比9.8%減の2900億円、電子部品は同14.2%増の3200億円となった。
半導体事業の構造改革については、「私の感覚としては、道筋がついている。8合目、9合目まで来ている」と述べた。
同社では、7月31日付けで、富士通セミコンダクターのシステムLSI事業をパナソニックと統合し、日本政策投資銀行の出資を得て、ファブレス形態で、親会社から独立した形で新会社を設立することについて正式契約を結んだことを発表している。