ニュース

レッドハット、OpenStack環境に対応したクラウド管理ソフト「CloudForms 3.0」

CloudForms 3.0ではOpenStack Platformを新たにサポートし、より包括的なクラウド環境の管理が可能になった
CloudForms 3.0の新機能

 レッドハット株式会社は13日、クラウド管理ソフトウェアの新版「Red Hat CloudForms 3.0」を提供開始したと発表した。従来対応していたVMware vSphereなどの管理に加えて、商用のOpenStack製品である「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform」(以下、OpenStack Platform)の管理に対応し、包括的なクラウド管理が可能になったという。

 「Red Hat CloudForms」は、クラウドや仮想化環境の包括的な管理を行えるソフトウェア。当初は独自開発の製品だったが、2012年に米Red HatがManageIQを買収したことを受け、同社の製品を「CloudForms 2.0」へと名称変更して提供していた。

 今回発表されたCloudForms 3.0ではさらに、レッドハットのOpenStackパッケージであるOpenStack Platformの管理に対応した。これにより、すでに対応しているVMware vSphere、Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)、Amazon Web Services(AWS)などとあわせて、より効率的な管理と自動化を行えるようになる。

 レッドハットでは、プライベートクラウドからパブリッククラウドまで、クラウドサービスを包括的に管理できる「オープンハイブリッドクラウド」というビジョンを掲げている。しかし、肝心のOpenStack PlatformをCloudFormsで管理できなかったため、ビジョンだけが先行していた状況で、レッドハット 常務執行役員 製品・ソリューション事業統括本部長の纐纈昌嗣氏は、「CloudForms 3.0の登場により、ようやくお約束した姿に近づくことができた」と話す。

 また、クローズドソースだったCloudForms 2.0とは異なり、CloudForms 3.0はオープンソース化されているのも大きな変更点。この点でも、ほかのレッドハット製品と同列に並べられるようになったとのこと。

 なおOpenStack Platform対応以外では、AWSへの対応が強化された。AMI(Amazon Machine Instances)の共有化が可能になったほか、Amazon VPCとの連携も強化されている。

 提供形態も変更された。従来は、データセンターの統合管理を実現するソリューション「Red Hat Cloud Infrastructure」の1コンポーネントとしてのみ入手できる形だったが、CloudForms 3.0は単体での購入も可能になっている。

 利用料金は、管理対象となるサーバー/インスタンス数に応じて課金される体系を採用。参考価格は、2ソケットサーバー1台あたり、平日の9~17時のサポートが提供される「スタンダード」で年額24万400円(税別)、24時間365日のサポートが提供される「プレミアム」で年額31万1900円(税別)。また、AWSなどのクラウド環境で利用する場合はインスタンスあたりの課金となり、年額8600円(税別)から。

 「Gartnerの調査によれば、プライベートクラウドを構築する際に一番の課題になるのが管理だという。そうした課題に対して、キャパシティプランニング、オーケストレーション、モニタ、ダッシュボードなどを提供するのがCloudFormsだ。一方、OpenStackは重要な技術であるが、すべてを兼ね備えているとはいえず、そこで当社ではOpenStack Platformを提供している。CloudForms 3.0によりOpenStack Platformがサポートされたことで、運用管理の上で必要な機能がそろったといえる」(米Red Hat クラウド事業部門担当ゼネラル・マネージャーのブライアン・チェ氏)。

米Red Hat クラウド事業部門担当ゼネラル・マネージャーのブライアン・チェ氏

石井 一志