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「企業の変革にあわせた新しい製品を提供する」、日本HPが法人向けPC事業戦略を説明

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は13日、報道関係者を対象に、同社の法人向けPC戦略などについて説明した。

 ビジネスPC・ソリューション部門におけるワールドワイドの責任者である米Hewlett-Packard(HP) プリンティング&パーソナルシステムズ ビジネスPCソリューションズのエンリケ・ロレス シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャと、アジア・パシフィック地域においてパーソナルシステムズ事業を統括するHP アジア・パシフィック&ジャパン プリンティング&パーソナルシステムズ パーソナルシステムズカテゴリーのアネリーズ・オルソン バイスプレジデントが来日したことにあわせて行われたもの。

米HP プリンティング&パーソナルシステムズ ビジネスPCソリューションズのエンリケ・ロレス シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャ
米HP アジア・パシフィック&ジャパン プリンティング&パーソナルシステムズ パーソナルシステムズカテゴリーのアネリーズ・オルソン バイスプレジデント

 ロレス氏は、冒頭に「HPは日本を重要な市場だととらえている。ビジネスPCの変革や、技術革新は日本から発信され、それが世界のトレンドとなっていることが多い。特に、モビリティの導入では日本が進んでいる。日本の市場を重視していく必要がある」とした。

 HPにおいて、法人向けPC事業の売上高は全体の約2割を占めており、全世界でNo.1シェアを持つ。「大規模なスケールを生かして、市場における確固たるポジションを確保しているのが当社の法人向けPC事業の特徴である。また、コンシューマ向けPCとエンタープライズビジネスを合わせ持ちながら法人向けPC事業を行っているのは当社だけであり、全社の強みを総合的に生かしていくことができる。そして、確固たるビジネスモデルを持っており、これによって成長に向けた取り組みが行える」と切り出した。

 また、ロレス氏は、「企業において、大きな変革が始まっている。これは、過去25年の変化よりも大きな変化だといえる。10年前は、社員がオフィスに来て働くことが前提だったが、現在ではカフェなどで仕事をする人たちも増えている。また、新たな労働力は、これまでとは異なるスキルを持ち、デジタルを活用する準備ができている人たちでもある。仕事の仕方や職場のスタイル、使うツールやコミュニケーションの手法がさらに大きく変わっていくだろう。HPはこうした機会をとらえて、新たな製品を投入し、法人向け市場における成長をリードしていきたい」とした。

世界1位のシェアを持つとともに、コンシューマ向けPCとエンタープライズビジネス、法人向けPCの各事業を行っているのがHPの特徴
仕事の仕方や職場のスタイル、使うツールやコミュニケーションの手法がさらに大きく変わっていく
HPでは、このような変革を受けてさまざまま新製品を投入していくという

ビジネスPC事業での6つの取り組み

HPのビジネスPCのポートフォリオ

 HPでは、ビジネスPC事業において、6つの取り組みを推進しているとする。

 ひとつは、「誰に向けてどんな製品を定義していくのか」という点。「これまでの法人向けPCはIT部門の要件を満たすを目的に開発してきた。しかし、ここにきて社員の要件を満たすことを加えている。社員が使いたいデバイス、魅力的なデザインを考えている」とする。

 2つめには、モビリティやハイブリッドデバイス、ノートPC、ワークステーションといった幅広いポートフォリオを提案すること。

 同社では、先ごろ、世界初となるUltrabookのワークステーション「HP ZBook 14」を発表したが、これについては、米HP アジア・パシフィック&ジャパン プリンティング&パーソナルシステムズ パーソナルシステムズカテゴリーのアネリーズ・オルソン バイスプレジデントが説明。

 「同製品は今後2、3週間後に日本でも投入することになる。ユーザーのなかには、グラフィックに最適な環境を、デスクの上だけでなく、現場に持ち運んで利用したいというニーズがあり、そうしたユーザーの声を反映して製品化したものだ。ウルトラモビリティという領域の提案になる」と述べた。

日本HP プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史取締役副社長執行役員

 また、日本HP プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括の岡隆史取締役副社長執行役員は、「ワークステーションを持ち運んで利用するというニーズは根強い。この分野は、PC以上に高い成長率を達成している事業である。今回の製品は、プロセッサの世代が変わったことにあわせて、進化させ、薄くしたもの。マーケットの要求に応えた製品である」と補足している。

 3つめは、企業が求めるOSに広がりが出てきたことから、ビジネス用途でも、Windows以外の幅広いOSへの対応を進めるということがある。「CIOからはAndroidやChromeなどの導入を検討している声をよく聞く。2014年に向けて、マルチOS戦略を推進し、こうした製品群を用意していくことになる」という。

 なお、米国で発表したChromebook「HP Chromebook 14」の日本での展開に関しては、「国内のユーザーの反応などをみながら、取り扱いを検討していきたい」と慎重な姿勢をみせた。

セキュリティと管理性におけるイノベーション

 だが、その一方で、「マルチOSがもたらす複雑さがIT部門の今後の課題になる」とし、セキュリティや管理性が4つめのポイントだとする。

 「これはHPにとって大きなチャンスになる」とロレス氏は語る。続けて、「ハード、ソフト、サービスに関してソリューションを提供できる会社であり、そこに当社の特徴がある。セキュリティに関しては、デバイスの保護、データの保護、IDの保護という3つのエリアに対して投資をしており、IT管理者がシンプルに管理することができるようになる」とした。

 そして、5つめには、「リモートコラボレーション」をあげ、「2014年には、革新的なソリューションの発表を聞くことができるだろう。例えば、特定の建物を出た場合には、PCの使用ができなくなるといった製品も投入することになる」と説明した。

 6つめは、IT部門やITリセラーのサービスを提供しやすくするための「プラチナムサービスプラットフォーム」。PC利用の最適化、PCの管理、ビジネスエコシステムへの最適化という3点でサービスを提供していくことになる。「将来的には、サービスのフォーカスエリアを拡大し、顧客の環境を管理する支援ができればと考えている」とした。

 同社では、企業の要求ごとにコンフィグレーションを行う「ビジネスレディPC」に加えて、小規模なユーザーに対するプレミアムサービスを提供していくという。さらに、ここでは、PC-as-a-serviceにも力を注ぐ姿勢をみせた。これは企業のユーザーが購入して、サポートし、リプレースする代わりに、サービス契約を結んで、サービスやサポートを提供。企業は利用した社員単位で費用を払うことになる。2014年に導入を図る予定だという。

 一方で、同社では、今年に入って、パートナー向けのプログラムを大幅に変更しているが、これに対して、ロレス氏は、「当社売上高の70~80%がチャネルルートである。今年実施したパートナー向けの新たなプログラムは、よりシンプルなものとし、幅広いポートフォリオの製品群を、共通の価値提案を行いながら、販売できるものである。パートナーごとにビジネスが行える市場を明確化し、価値を最大化するための施策となっている」とした。

日本で未発売のHP ProBook 430 シリーズ。日本では近々発表の予定

石井 一志