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日本IBM、ミッドレンジ向けメインフレーム「IBM zEnterprise BC12」
コアあたり処理能力を36%向上、モバイル対応なども強化
(2013/7/24 13:39)
日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は24日、メインフレーム「zEnterprise」のラインアップに、ミッドレンジ向けの新製品「IBM zEnterprise BC12」(以下、zBC12)を追加すると発表した。価格は、50MIPSの場合で790万円(税別)から。
「zEnterprise」は、メインフレームとオープン系システムを一体化させ、1台の論理的なサーバーとして見せることで、企業ユーザーの管理負荷軽減を支援するサーバーソリューション。メインフレーム本体に拡張ユニット「IBM zEnterprise BladeCenter Extension(zBX)」を増設すると、z/OSだけでなく、UNIX、Linux、Windowsといったさまざまなプラットフォームを1台に統合し、ワークロードを最適化できる。
今回発表された「zBC12」は、ミッドレンジ向けメインフレームの最新モデルで、こうした特徴を受け継ぐとともに、4.2GHz動作のCMOSプロセッサを搭載し、従来のミッドレンジ向けである「IBM zEnterprise 114」(以下、z114)と比べて、コアあたりの処理能力を36%向上させた。また、筐体あたりの最大処理能力が向上したため、統合可能な仮想サーバーの台数が筐体あたり最大62%増加しているという。
また今回は、ハイエンド向けの最新モデル「IBM zEnterprise EC12」(以下、zEC12)と共通して利用可能な機能強化も行われた。まず、メインフレーム向けOSの最新版「z/VM 6.3」では、より多くの仮想サーバーをサポートするだけでなく、OpenStackに対応したことで、サーバー、ストレージ、ネットワークなどさまざまなITインフラとの連携が可能になる。
さらに、zBXを用いたAIX、Linux、Windows混在環境で、ワークロードポリシーによるパフォーマンス管理に対応。「リソースを100%使い切るというメインフレームの良さを、(オープン系と統合した)ハイブリッドコンピューティング環境でも生かし、ワークロードを最適化できる」(取締役執行役員 テクニカル・リーダーシップ担当の宇田茂雄氏)という。
加えて、本体のCPUやメモリを使うのではなく、最適化された専用ハードウェアで各種処理を担当させるため、データ圧縮カード「zEDC Express」を提供。デジタル署名機能を追加し、EMVやPKCS#11などの業界標準プロトコルをサポートした暗号処理カード「Crypto Express4S」や、共有メモリ間通信(SMC-R)によってサーバー間通信のネットワーク遅延を最大80%削減できる「RoCE Express」も提供される。
なお、代表取締役社長のマーティン・イェッター氏は、「よく、メインフレームは古いといわれるが、それは間違い。当社ではzEnterpriseへの投資を怠ったことはなく、毎年イノベーションを達成している。また、お客さまの中では、可用性、信頼性、拡張性に対する要求が強くなっており、これに応えられるのがメインフレームだ」とコメント。
また、「市場が小さくなっていると言われているが、もっともコスト効率が高いものがメインフレームであり、当社のビジネスは伸びている。信頼性、可用性という点ではほかに代わるものはなく、メインフレームには明るい未来があると思っている」と述べ、2014に50周年を迎えるメインフレームのビジネスは、まだまだこれからも継続していくとの見通しを力強く述べた。
イェッター社長が述べたイノベーションとは、前述したような新機能もそうだが、新しいトレンドへの対応も含まれている。その1つがモバイル対応で、「CICS JSON Capability」やモバイル基盤構築ソフト「IBM Worklight Studio」を組み合わせて利用すると、モバイル端末から、きちんとセキュリティを保ったままで、基幹システム上のアプリケーションを直接実行できるようになるとのこと。
「10年前のメインフレームはオンラインとバッチ処理だけだったが、お客さま環境には周辺システムがいくつもあるので、それらを取り込んでリソースを100%使えるようにしたのがzEnterprise。また、モバイルなどの新しい要件を含めてすべて支援できる、あらゆるソリューションの基盤としてzEnterpriseを位置付けている」(宇田氏)。