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BIGLOBE、独自開発のクラウドコントローラでネットワーク仮想化を実運用段階に
目指すは「インフラ設計が不要な世界」
(2013/4/23 06:00)
NECビッグローブ(BIGLOBE)は22日、サーバとネットワークの仮想化と一括制御によってデータセンターの仮想化を実現し、この4月より運用開始したことを発表した。従来、仮想サーバのプロビジョニングは数分で完了するのに対して、ネットワークは仮想化されていなかったことで構築に約2週間を要していたが、これが約10分にまで短縮されたという。
独自開発のクラウドコントローラで制御
概要説明を行なった基盤システム本部の田口敏宏氏は、基本的な課題として「サーバが仮想化された一方、ネットワークが仮想化されていないことで構築に時間を要する」ことと、「クラウドはスピードに優れる一方、ファイアウォールは専用ネットワークを自由に使えないなど柔軟性に劣る。従来型のSIは自由度が高いが構築に時間が掛かる」とし、クラウドの迅速性とSIの柔軟性を兼ね備えた理想のデータセンター環境をネットワーク仮想化によって実現することを目指したとした。
同社の取り組みは3ステップで進められており、現在はSTEP 2が完了した段階だ。STEPは2012年9月から、一種の社内パイロットプログラムといった形で進められ、ネットワークを仮想化し、OpenFlowで制御するSDN環境の導入が行なわれた。この4月から運用開始されたSTEP2では、独自開発のクラウドコントローラ「momiji」によってサーバとネットワークを一括コントロールすることでデータセンターの仮想化を実現した。さらに今年9月の稼働開始を目指すSTEP3では、「インフラ設計が不要な世界」を目指すという。
同社のネットワーク仮想化は、OpenFlowとXVLANを組み合わせたものとなっている。OpenFlowに関しては、NECのProgrammableFlowの技術が活用されているが、ハードウェア製品としてのProgrammableFlowスイッチは導入されておらず、momijiからOpen vSwitchを制御するためにOpenFlowプロトコル(Ver 1.0相当)が使われている形だ。物理ネットワークは既存の構成がそのまま引き継がれており、L3でセグメント分割されたネットワークとなっているが、ここにVXLANによるトンネリングを導入することで仮想的なL2フラットネットワークを作り出した上でトラフィックをL2(MACアドレスベース)で制御する、という手法となっている。IPアドレスを制御に使わないことで、IPv4/IPv6どちらのトラフィックもそのまま通過させることができるという。
従来の環境では、インフラ設計に約5日、その後サーバ構築には数分だが、ネットワーク構築に約2週間を要し、運用開始まで約20日間掛かっていたが、今回のSTEP2の運用開始によってネットワーク構築に要する時間が約10分に短縮され、5日+10分でインフラ構築が可能になった。次のSTEP3では「やりたいことを決めるだけでインフラが自動的に構築される」環境を実現することで設計に要していた5日間の部分の作業を解消、設計と構築を合わせて数分で完了することを目指すという。