九州大学、CloudStackなどを利用したキャンパスクラウド環境を構築


 国立大学法人九州大学と株式会社日立製作所(以下、日立)は12日、ネットワーク経由でITリソースを提供するための基盤「キャンパスクラウド」を構築し、サービス提供を開始したと発表した。研究者向けに研究開発環境を提供するIaaSサービスと、学生向けにデスクトップ環境を提供する仮想デスクトップサービスを開始している。

 このうち研究者向けのIaaSには、「Citrix CloudStack」(現在の名称はCitrix CloudPlatform powered by Apache CloudStack)をクラウド基盤ソフトとして採用しており、研究者の用途に合わせた仮想環境を提供できるようにした。具体的には、複数のサーバーをまとめたクラスタパッケージによるMPI(Message Passing Interface)環境やWebサーバー、複数種類のクライアントOS環境を利用可能という。

 またHadoopなど、仮想環境上では本来の性能を発揮しづらい分散処理環境を利用する場合には、物理サーバーを選択することもできる。さらに、あらかじめクラスタ化された状態のリソースを利用することにより、例えば、ビッグデータの処理・解析などに使用するNoSQLデータベース「MongoDB」なども短時間での準備が可能になった。

 一方の学生向けの仮想デスクトップサービスでは、授業や演習などで利用するデスクトップ環境とアプリケーションソフトを、ネットワークを介して教室や研究室、自宅などから利用できる。

 なおこれらのキャンパスクラウドは、オープンソースソフト「Shibboleth」を用いて構築された九州大学の学内システム認証基盤と連携しているため、シングルサインオンにより、学内のポータルページから容易にクラウド利用の手続きを行えるとのこと。

 加えて、従来は個々に設置・管理されていたサーバーやストレージ、PCなどをキャンパスクラウド環境に移行したことにより、ITリソースの一元管理を実現。省電力化への対応や、ITガバナンスの向上、セキュリティ環境の強化などを図りつつ、管理・運用にかかる時間やコストを低減できると期待されている。

 キャンパスクラウドの構築については、大学分野でのシステム導入実績とノウハウを生かして、日立が構築を行った。また認証技術には、クラウドサービスプラットフォーム「Cosminexusシリーズ」の1つで、サーバー側のシングルサインオンを実現する「uCosminexus Secure Unify - SSO」を適用している。

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(石井 一志)
2012/10/12 14:13