「オープンな『Converged Cloud』を提供できるのはHPだけ」~日本HP・小出社長がクラウド戦略を説明


HP Converged Cloud

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は9日、クラウドサービスに関する戦略説明会を開催。その中で同社の山口浩直CTOは、「クラウドと一口にいってもいくつかのクラウドがあるのが現状で、バラバラに動いてしまっている。それに対して、セキュリティや管理を含めて一貫しており、相互運用できる『HP Converged Cloud』を当社が提唱していく」と述べ、以前から表明している同社の姿勢をあらためて説明した。

 従来型のオンプレミス環境が仮想化・自動化などの進展によってプライベートクラウド化する一方で、Amazon Web Servicesに代表されるパブリッククラウドの普及が本格化。また、その中間的な管理されたクラウドサービスである「マネージドクラウド」も存在しており、「アーキテクチャやテクノロジー、管理レベル、セキュリティ、サービスレベルもバラバラ」(日本HPの小出伸一社長)な状況になってしまっているのが、現在のクラウド環境だという。

 そこで日本HPでは、4月に「HP Converged Cloud」を発表。適切な選択(Choice)、信頼性(Confidence)、一貫性(Consistency)の3つの“C”でこれらの課題に対応すると説明してきた。

 パブリック、プライベート、マネージドの各クラウドを適材適所で柔軟に利用しつつ、これらをシームレスにつないで連携させる、というのがベースコンセプトだが、Choiceという点では、OpenStackなどのオープンソースソフトを活用するなど、常にオープン性を重視。またConfidenceでは、長年提供してきた運用管理のノウハウを含め、安心・安全を提供。Consistencyでは、すべて同じアーキテクチャで、一貫性を持って提供することを何よりも重視している。

 こうした戦略を明示しているベンダーはほかにもあるが、日本HPでは具体的なソリューション、サービスを提示できる点も強みとのことで、小出社長は、「お客さまが本来、目的としてたクラウドに近づけるように、というのがHP Converged Cloudの狙い。オープンかつ統合されたアーキテクチャで提供できるのは当社だけであり、米国で提供されているパブリッククラウドも含めて、すべてのクラウドを用意することができる」と述べた。


日本HPの小出伸一社長日本HPの山口浩直CTO

 なお、この日の説明会ではユーザー2社も登壇。Notesの保守切れに伴い、メール機能を日本HPのマネージドクラウドへ移行した東京海上日動火災保険 常務取締役の宇野直樹氏は、日本HPをパートナーとして選んだ理由を「長年の付き合いで技術力が十分にあり、ワールドワイドでも同じことが保証されていると思っている」としたほか、「HPが自社で使っている点も大きな決め手。自社で使われているということは、いいところや悪いところ、問題点についてきちんと把握されているだろうから」と話す。

 また、クラウドサービス「IQcloud」のインフラに「HP CloudSystem Matrix」を採用しているGMOクラウドの青山満社長は、製品自体の信頼性や運用管理のしやすさなどを挙げた上で、「以前の1年分に相当するデータ量が1日で増えるようになった現在、グローバルでの調達力、瞬発力があるからこそHPを選んだ。急激に伸び続けるサーバーやストレージを安く効率よく調達できるのは同社の力だ」と述べ、別の側面からも日本HPを支持している。


日本HPの小出伸一社長と握手を交わす、東京海上日動火災保険 常務取締役の宇野直樹氏【写真・右】同じく、GMOクラウドの青山満社長【写真・右】
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