日立ソリューションズ、PDFに位置情報を付与するGeoPDF製品


利用イメージ

 株式会社日立ソリューションズは17日、PDFに位置情報を持たせることで地理情報システム(GIS)のデータを簡単に利用できるGeoPDFソリューション「TerraGo Product Suites」の日本語版を発表した。18日より提供する。

 GISデータは災害対策や危機管理などに活用されているが、その利用には専門知識が必要で、データ量も大きいため、専門家の利用に限定される傾向があったという。TerraGo Product Suitesは、GISデータをPDF化して誰でも簡単に利用できるようにする製品。開発元の米GerraGo Technologiesと日立ソリューションズが共同で日本語版を開発した。

 位置情報付きのPDF「GeoPDF」を「生成」「編集」「利用」する3製品で構成され、今回の日本語版により、3製品すべてで日本語の入出力が可能となった。GISデータの共有・連携がGeoPDFファイルへの変換だけで行え、操作性もPDFとほぼ同じなのが特長という。

 生成のための「TerraGo Publisher Suite」では、1)地理空間データの属性値(地名、管理番号、サイズ)を含めGeoPDF化、2)衛星画像、航空写真などの地理情報付き画像ファイルをGeoPDF化、などが可能。

 編集のための「TerraGo Composer Suite」では、1)複数のGeoPDFを統合し、複数レイヤを持つ単一ファイルのGeoPDF生成、2)複数のGeoPDFを管理するためのインデックスマップの生成、3)通常のPDFに位置情報を付与してGeoPDF化、などが可能。

 利用のための「TerraGo Collaboration Suite」では、1)距離・面積計測、2)コメント注釈、3)ポリゴン・ポリラインなど図形描画、4)注釈・図形のインポート・エクスポート、5)GPSトラッキング、などが可能。

 同社のWebサイトでは、災害危機管理における活用例などを紹介している。平時にGISから情報を取得し、適切な避難所の検討、津波発生時の浸水予測などを行い、災害発生時に本部で得られた情報を各関係者へ配信。各地の被災情報を共有し、全関係者で迅速に情報連携するといった内容だ。

 その手軽さからGeoPDFの活用は広がっており、2010年1月のハイチ地震の際に、PKO(国際平和維持活動)の復興支援で活用されたり、2009年1月のオバマ大統領就任パレードの警備・警護対応として、ルート中にある要警護地点の特定、警備員の配備計画、現況報告などに利用されたりしている。

 価格は、GeoPDF生成ソフトが39万7950円から、同Serverが173万2500円、GeoPDF編集ソフトが86万6250円、GeoPDF利用ソフトが無償。

 日立ソリューションズでは今後、日本語版の普及に努めるほか、GeoPDFのモバイル利用を可能にする「TerraGo Mobile 日本語版」や、同社のエンタープライズ型地理情報システム「GeoMation」対応版の提供も予定する。

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(川島 弘之)
2011/1/17 12:05