東京エレクトロンデバイスが米Fusion-ioと代理店契約を締結、100万IOPSの「ioDrive Octal」などを販売

OEMビジネスにも参入、国内大手メーカーとの話を進める


ioDrive Octal
ioDriveシリーズの性能

 東京エレクトロンデバイス株式会社は13日、米Fusion-ioと販売代理店契約を締結し、NANDフラッシュメモリを利用した同社の高速カード「ioDriveシリーズ」の取り扱いを同日より開始すると発表した。既存製品に加え、6GB/秒のリードバンド幅と100万IOPSを超える性能を持つ「ioDrive Octal」も提供する。

 ioDriveシリーズは、NANDフラッシュメモリを利用した、PCI Express(PCIe)接続の高速ストレージカード。その特徴は、なんといっても高パフォーマンスと低レイテンシで、「ioDrive Duo」では、リードバンド幅が最大1.5GB/秒、リードIOPSが26万、アクセス遅延が26μsという高い性能を実現している。

 加えて、エンタープライズ用途で重要な信頼性についても、HDDのRAIDに相当するようなパリティの確保、ECCによるビット訂正などによって高いレベルで確保するほか、グルーミング、ウェアレベリングなどの技術を効果的に用いることで、一般的なHDD型のSSDと比べ、10~50倍の書き込み寿命を実現した。

 そして、今回発表されたioDrive Octalでは、こうした特徴はそのままにパフォーマンスがさらに強化され、リードバンド幅が6.0GB/秒、ライトバンド幅が4.4GB/秒、リードIOPSが119万、ライトIOPSが118万という超高性能を実現。容量も5.12TBの大容量化を図りながら、アクセス遅延は30μ秒に押さえられており、性能と大容量化を両立しているという。ただし、高性能化に伴って必要なバス幅は拡大しており、1枚につき、PCIe x16 Gen2が1スロット必要になる。

 また、ioDriveシリーズでは、高い性能を1枚のカードに凝縮していることから、性能という観点から見た場合に、システムの規模を大幅に縮小できる点もメリット。この点について、東京エレクトロンデバイス CN事業統括本部 CNプロダクト事業部 ビジネス・デベロップメント部 鈴木雅貴GLは、「従来のストレージシステムにおいて高い性能を出すためには、大量のHDDを並べる大規模なSANシステムを作るといったアプローチが一般的だった。ioDriveシリーズでは、これをカード1枚に納めているため、ストレージの性能といった観点からは、システムの規模が大幅に縮小可能。機器自体のコストや、電気代を含めたシステム全体の運用コストを大幅に削減できる」と述べる。


大規模SANストレージと同等の性能をカード1枚に集約しているシステムの規模を縮小できるので、運用コストを大幅に圧縮できるという
東京エレクトロンデバイス CN事業統括本部 CNプロダクト事業部 ビジネス・デベロップメント部 上善良直部長

 東京エレクトロンデバイスでは、こうしたさまざまな特徴を踏まえて、ioDrive Octalを含めた全製品を、ストレージ性能がシステムのボトルネックになっているユーザーや、超高速ストレージアクセスが必要なユーザーを対象に紹介していくとのこと。

 具体的な訴求先の例としては、「大量のアクセス処理が必要なWeb・インターネット系の企業や、ストレージI/Oが逼迫(ひっぱく)しているデータセンター、統計・解析などをひんぱんに行う金融機関、研究機関などを対象に、直接、あるいは二次店を通じて販売を進める」(東京エレクトロンデバイス CN事業統括本部 CNプロダクト事業部 ビジネス・デベロップメント部 上善良直部長)とした。

 また、販売のみならず、OEMも積極的に手掛ける予定で、「すでに、国内の主要なメーカーにはioDriveを紹介している」(上善部長)とのこと。海外ベンダーでは、DellやHP、IBMといった大手のサーバーベンダーがFusion-ioからOEM提供を受け、国内も含めて製品の販売を行っているため、国内についてもサーバーを手掛ける大手ベンダーが対象になると見られる。

 なお、東京エレクトロンデバイスでは、3年間で15億円の販売を見込んでいるが、その7割をOEMによる売り上げと想定しているとのことだ。


国内での販売体制サポート体制
米Fusion-io アジア太平洋地域担当セールスディレクター、マシュー・フレミング氏

 一方、Fusion-io アジア太平洋地域担当セールスディレクター、マシュー・フレミング氏は、今回の契約について「当社のOEM契約の中でももっとも包括的なものであり、この先、すべての製品をお客さまに提案していただくことができる」とコメント。その上で、「これまでの短い間に、OEMとの関係や市場における認知度、エンドユーザーとのかかわりにおいて、素晴らしい改善がすでに認識できた」と述べ、日本国内でのビジネス伸長について、東京エレクトロンデバイスに対し、大いに期待するという姿勢を示している。

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