「固定観念を覆してお客さまに最適なアドバイスを送る」、日本HPが新サーバー戦略「ServerPlus」を発表


エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 統括本部長の上原宏氏
フルスタックを持つのが日本HPの強み

 「次元がこれまでと異なるさまざまな悩みを解決するためには、お客さまに固定観念を覆していただく必要がある。これが、今年のサーバー戦略の礎になる」――。日本ヒューレット・パッカード株式会社(以下、日本HP)は6日、2011年のサーバー事業戦略説明会を開催。その中で、エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 統括本部長の上原宏氏は、同社の戦略をこう説明した。

 日本HPでは、劇的にビジネス環境が変わっていく中で、変化に対して瞬時に対応できる企業を目指す「Instant-on Enterprise」という新しい企業像を打ち出しており、顧客に対しても、Instant-on Enterprise企業への変革を支援するとのメッセージを発信するようになった。

 こうした支援を行うためには、パブリック/プライベートクラウドやオンプレミスなどのさまざまな選択肢をハイブリッド型で提供する必要があるというが、上原氏は、「ハードウェアのみならず、コンサルティングや各種サービス、ソフトウェア、アプリケーションまで、フルハウスでエンタープライズソリューションを提供できるのは当社だけ。しかもPCやプリンタといった入出力の部分を含めてすべてそろえられる」とし、フルスタックを所有することの強みをアピールする。

 一方で、企業がInstant-on Enterprise企業へ変革していくためには、「固定観念」が最大の障壁になってしまう、という点を上原氏は指摘。日本HPでは、これを踏まえて、顧客企業の固定観念を覆す「HP ServerPlus」を戦略として掲げ、2011年のビジネスを展開するとした。

エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 製品戦略室 室長の山中伸吾氏

 この固定観念の例としては、例えば「どのストレージと組み合わせても大差がない」(エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 製品戦略室 室長の山中伸吾氏)といったものが挙げられるという。しかし、日本HPのサーバー、ストレージを併用すると、アプリケーション単位のQoSが可能になり、帯域を有効に活用できるため、仮想化によるサーバー統合で問題となる、FCの帯域の問題を解決可能とのこと。山中氏は、「こうした解決は、サーバーを理解していないとできないことだ」とし、幅広いポートフォリオを持つことのメリットを説明する。

 また、「LinuxはUNIXよりも安価に利用できる」というのも、誤った固定観念の1つなのだという。山中氏は、「日本では、OSのバージョンを変更すると、アプリケーションの作り直しで多大なコストが発生するので、同じバージョンを長く使いたいという要望が多い。しかし、Linuxでは特別な長期サポートに加入した瞬間、多大な費用が発生してしまう。一方、HP-UXは特別サポート料金なしで、2020年までサポートしている。長期に同じバージョンを使いたいという要望なら、UNIXの方が安くなる」と具体的な例を示して説明し、こうした点も訴求していきたいとした。

サーバーとストレージの連携により、FCでの柔軟なQoSを実現同じバージョンを長く使うのであれば、HP-UXの方がLinuxよりも安くすむという
3つのマーケティング組織を統合
国内パートナーとの協業も強化する

 なお、こうした固定観念の打破のために、日本HP側でも変革を進めているという。まず、x86、Non Stop、UNIXといった製品ラインごとに分かれていたマーケティング組織を統合。顧客企業が最適なサーバーをより容易に選べるように、社内の体制を整えた。

 さらに、「ベンダーがたくさんあって、機種も多く、選択肢がありすぎるため、日本のお客さまは非常に悩まれている。アドバイスを欲しがっているお客さまがとても多い」(山中氏)ことを受け、顧客企業の選択を重視していた従来の営業体制をあらため、「きちんと理由を付けて、お客さまに最適なシステムをアドバイスできるように変えていく」のだという。

 事業部が分かれていると、どうしても特定のシステムを押しつけがちになるが、組織の統合によって提案もしやすくなるし、幅広いポートフォリオを持つことから、提案が偏ることも避けられる。「日本にある当社では、日本のお客さまに一番近いところで仕事をしており、お客さまの要望を世界へ届ける一方で、ワールドワイドの最先端の技術、ノウハウ、発想を生かし、日本のお客さまが気付いていないことを世界から持ってくることが可能」とした山中氏は、こうした日本HPの強みを生かし、しかも、用途に応じた最適な提案をできるようにすることで、日本企業からの信頼を勝ち取っていきたいとした。

 なお、山中氏は「国内公共システムは国内ベンダーのイメージ強いが、確かに、現実問題として外資だけでは入れない部分。国内ベンダーとのパートナリングをさらに強化し、市場領域を広げていきたい」と述べ、2011年は、国内の販売店との関係も強化するとの姿勢を明らかにしている。

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(石井 一志)
2011/1/7 13:29