IDC Japan、「ビジネスモビリティの企業導入成功事例」を発表

法人需要は拡大傾向も、セキュリティの脆弱性が大きな懸念材料に


 IDC Japan株式会社は8日、「国内ビジネスモビリティ市場ユーザー導入成功事例」を発表した。同社では、このレポートの中で、「国内ビジネスモビリティ市場は、スマートフォン市場の拡大、iPadを含むメディアタブレット端末の登場などにより、ユーザーの関心は高まり、利用が徐々に広がる傾向にある」と分析している。

 IDC Japanでは、ソフトバンクモバイルが提供するiPhoneの導入が急拡大しているほか、au、NTTドコモからもAndroid OS搭載のスマートフォン端末が積極的に市場投入されてきたのを受け、法人向けスマートフォン利用は順調に拡大基調に向かうと予想。さらにiPadについても、従来の携帯端末とモバイルPCの双方の利点をあわせ持つことから、ビジネス利用面においても新たな需要を喚起する、けん引役としての期待が高まっているという点を指摘する。

 ユーザー企業向けインタビューの結果によると、利用端末としては、従業員数500人以上の大企業においても、500人未満の中小企業においても、スマートフォンの法人利用ではiPhoneが多くの契約者数を確保しているとのこと。逆に、Android端末を含めたその他のスマートフォンの活用は、一部にとどまっているという。

 また業種では、製造業に加えて医療機関、学校法人などでも積極的な活用が広がりつつあるとのことで、今後の普及の可能性が高まっていると指摘している。

 なお、ビジネスモビリティの導入における最大のメリットは、意思決定スピード(顧客対応を含む)の改善、社内での情報共有化の向上などが挙げられ、年間換算で「1億円前後」のコスト削減を実現するケースも見られた。しかし一方で、「セキュリティの脆弱性」に対しては大きな懸念材料となっており、この問題を解決することが将来の拡大の大きな鍵を握るとしている。

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(石井 一志)
2010/12/8 13:19