ネットアップ、ストレージ製品群を一新~「過去最大規模の発表」


米NetApp クラウドCTOのヴァル・バーコヴィッチ氏

 ネットアップ株式会社は18日、共有型ITインフラのためのストレージ基盤となる新製品群を発表した。従来からの製品ラインアップを大幅に刷新し、新たに「クラウドにおける共有型ITインフラに移行するためのストレージ基盤とする」(米NetApp クラウドCTOのヴァル・バーコヴィッチ氏)。なお「全製品の8割で何らかのアップデートを行った過去最大の発表」(同氏)という。

 新たに提供するのは、専用OS新版、ハイエンドストレージ、ミッドレンジストレージ、SASディスクシェルフ、SSD、新管理ソフト群、ならびにCisco・VMwareと共同提供する事前設計・検証済みソリューション。

共有インフラを実現する新製品群プラットフォームラインアップ。6つの新モデルを投入
Unified Connectの概要

 専用OS新版「Data ONTAP 8.0.1」では、柔軟性・効率性・拡張性・パフォーマンスを向上する新機能を搭載。具体的には、1本のワイヤーで標準的ネットワークプロトコル(FCoE/NFS/CIFS/FC/iSCSI)すべてをサポートする「Unified Connect」、業務を止めずに数千キロ離れたストレージ間でデータボリュームを移動できる「DataMotion for Volumes」、新たなデータ圧縮機能「Data Compression」を追加した。また、最大12ノードのクラスタリングによるスケールアウトに対応。容量は35PBまでサポートする。

 ハイエンドストレージ「NetApp FAS6200シリーズ/V6200シリーズ」では、最新のマルチコアCPUやPCIeの採用などにより、現行の2倍のパフォーマンスを実現。ONTAP 8.0.1の搭載で、運用中のパフォーマンスも向上している。拡張性では、最大2.9PBの容量、最大8TBのFlash Cacheメモリ、2倍のPCIeスロットを搭載可能。インターフェイスに10Gigabit Ethernet(GbE)、8Gb FC、6Gb SASを標準搭載した。これらは要求の厳しいワークロードにも対応する高性能モデルで、現行の「FAS/V6080、6040」の2モデルから「FAS/V6210、6240、6280」の3モデルに拡充している。

 ミッドレンジストレージ「NetApp FAS3200シリーズ/V3200シリーズ」では、「最高のコストパフォーマンスを実現した」(バーコヴィッチ氏)。最大1.9PBのストレージ容量、現行比1.5倍のPCIeスロットを備え、業務・仮想化アプリケーション用途に訴求する。ラインアップは「FAS/V3210、3240、3270」。同3210では「中小企業でも手の届く価格帯を実現している」(同氏)。

FAS6280

NetApp FAS6200シリーズ/V6200シリーズの概要NetApp FAS3200シリーズ/V3200シリーズの概要
密度を高めたSASストレージ

 SASストレージ「DS2246ディスクシェルフ」では、高密度性を向上。2Uのサイズに2.5型ドライブを24本搭載可能とし、従来比2倍のストレージ密度を実現した。「地価の高い日本のデータセンターにおける省スペース化へのニーズに対応する」(同氏)。

 また、要求が厳しいワークロード向けには、既存のFlash Cacheメモリに加えて、「NetApp SSD」を新たに提供。Flash Cacheメモリは「ランダムリードが大量に発生し、アクセスが集中するデータが不明または動的な環境に最適」、SSDは「ランダムなI/O中心のワークロードで、すべての読み込みが早くなければいけない場合に最適」とすみ分けている。

管理製品群をスイート化

 新管理ソフト群としては、従来バラバラに提供されていた管理ソフト群を「NetApp OnCommand」としてスイート化した。制御用の「System Manager」「Operations Manager」「My AutoSupport」、自動化用の「Provisioning Manager」「Protection Manager」「SnapManager」「SnapDrive」、分析用の「SANscreen」など、買収した管理ソフトも含めて共通ポートフォリオとしてまとめている。

 このほか、サーバー、ストレージ、ネットワークの統合に関して事前検証を済ませて提供するソリューション製品「FlexPod」も提供。Cisco、VMwareとともに実現した。

 バーコヴィッチ氏は、今回の製品一新にあたり、「共有インフラ」という言葉を強調している。同氏によれば、従来のデータセンターインフラはアプリケーションごとに独立した専用インフラが構築され、効率が悪くなっている。クラウド時代に入り、データの急増が著しい今となっては運用に耐えるものではなく、パブリック/プライベートの両環境における共有インフラが必須となっている」という。

 共有インフラとは、サーバー・ストレージ・ネットワークいずれも仮想化され、すべてのシステムに対して共有プール化されたリソースを提供できる環境のことだ。「今回の新製品は効率良く共有インフラを実現できるものとなっている。近ごろ、ストレージベンダーの買収も相次ぎ、ストレージは非常にエキサイティングな時代に入っている。このタイミングでこれだけの大規模な発表ができたことをうれしく思う。今後、クラウド環境への移行は加速していくが、その支援をしていきたい」(同氏)とした。

 最小構成価格例は、FAS3200シリーズが794万6000円(税別)、FAS6200シリーズが2333万8000円(同)。

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