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富士通研究所、複数組織のデータを異なる鍵で暗号化したまま照合できる暗号技術を開発

 株式会社富士通研究所と米Fujitsu Laboratories of America(FLA)は15日、複数組織の機密情報やプライバシー情報などを異なる暗号鍵で暗号化したまま、復号することなく、IDや属性値などの一致・不一致の照合が可能な暗号技術を、世界で初めて開発したと発表した。

 IDや属性を秘匿したまま照合する方式には、パスワードの一致照合などに広く用いられるハッシュ関数というデータの変換手法や、暗号化したまま加算や乗算、検索が可能な準同型暗号がある。

 ハッシュ関数は、元データの復元は困難だが、同じデータが必ず同じ値に変換されるため、データの種類が少ない場合に元データが類推される可能性がある。一方、準同型暗号では、すべての組織で同じ暗号鍵を用いる必要があり、検索結果は暗号化されているものの、結果を復号する鍵で全データが復号できてしまうため、鍵を厳密に管理しなければならないという問題があった。

 今回、富士通研究所とFLAでは、異なる鍵を使用して暗号化された組織ごとのデータを照合し、指定した組織の組み合わせで照合結果を判定可能な暗号技術を開発。照合用の鍵ではデータを復号できないため、例えば、複数の病院間での検査情報や診療記録の連携などにおいて、クラウド環境上で秘匿性を保ったまま複数組織の機微情報を安全に照合できるとしている。

医療・創薬分野における情報連携

 富士通研究所内の検証では、一般的なPCを用いて0.02秒の速度で1件の文字列同士の一致照合ができることを確認した。

 開発技術は、遺伝子情報や医療情報などへの適用のほか、文字列同士で数ビットの違いを許容した近似照合も可能であり、医療以外にも、金融、教育、行政、マーケティング、特許調査など、これまでにプライバシー情報、企業秘密など情報漏えいに不安があった様々な検索シーンに適用でき、特に組織を超えて安全なデータ連携が実現できると説明。富士通研究所では、技術のさらなる高速化やデータサイズの圧縮などを進め、2016年度内の実用化を目指す。

(三柳 英樹)