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照合速度は従来の3倍、NECがフィリピン国家警察に自動指紋認証システムを提供

 日本電気株式会社(以下、NEC)は22日、フィリピン法人であるNEC Philippinesが、フィリピン国家警察(PNP:Philippine National Police)に対し、自動指紋認証システム(AFIS:Automated Fingerprint Identification System)を提供したと発表した。

 PNPが新たに導入した自動指紋認証システムは、あらかじめデータベースに登録してある犯罪者の指紋画像と、犯罪現場に残された遺留指紋(物体を触った時に残る指紋の跡)の照合を行うなど、フィリピン国内における犯罪・鑑識捜査の用途に活用されているという。

 NECでは、既存システムもフィリピン国家警察に提供しているが、新システムはそれと比べて約3倍の速度で指紋画像の検索・照合が可能。また、指紋画像を保存するデータベースの容量も従来の5倍に拡大されている。これによりPNPは、犯罪捜査における被疑者の特定、災害時の犠牲者の識別などを、これまで以上に迅速かつ効率的に行えるとした。

 なおNECの指紋認証技術は、米国国立標準技術研究所(NIST)が実施した同技術のベンチマークテスト(FpVTE2012)において、第1位の照合精度を持つとの評価を得たとのこと。このテストは、大規模データベースを対象にする「国民ID」や「犯罪捜査」分野での実運用を想定し、警察や政府機関など、異なる組織で実際に採取された指紋画像を対象にしたもの。2003年のテスト開始以来、最大規模である最大500万人規模の大量の指紋データを用いて、検索や本人確認などの精度評価が行われたが、NECの平均照合率は99.63%となり、参加全18社のうちトップの結果を示したという。

石井 一志