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北海道大学と富士通、個々の学生に最適な教材や指導方法をICTを活用して分析する共同研究を実施

 北海道大学と富士通株式会社は、社会が求めるグローバルな活動や革新的な考え方ができる人材の育成を目的とし、個々の学生に最適な教材や指導方法をICTを活用して分析する共同研究を2016年3月まで実施すると発表した。研究は2015年4月から開始されている。

 北海道大学におけるオープンエデュケーションの活用実績と、富士通のデータ分析技術の強みを活かし、学生の自ら学ぶ姿勢を強化することを目的として、学生の生活にまで踏み込んだデータから個々の学生に最適な学びを分析し、講義と学習指導、およびICTを活用した学生への教材提供に適用する共同研究を行う。

 共同研究では、学生の予習状況や講義の理解度などの学習履歴(学習ログ)と行動パターンや趣味・嗜好などの生活の記録(生活ログ)、および交通情報や天候などの地域のオープンデータから、学生の学びに関する特性を分析する手法とツールを開発。分析結果やツールを北海道大学の講義や学習指導に適用し、その有効性を評価する。

 北海道大学では、あらかじめ情報提供に同意した学生を対象として、2015年度前期の講義に合わせて、個々の学生の情報として、学習に関するデータ(予習時間、講義の理解度、学習スタイルなど)や、学生の基本属性データ(入学動機、課外活動、キャリア観など)、学生の生活に関するデータ(睡眠、食事、体調など)を収集する。また、国内情報として、北海道に関するオープンデータ(天候、イベント・祭り、観光客の増減など)を収集する。

 収集したデータは、関連性やパターンをICTを活用して可視化し、個々の学生の能力・行動パターン・心理状態、学生の学びに影響する要素などを分析。インターネットを利用して学習可能な学生1人ひとりに最適な教材の提供と、学習指導を行う。

 これらの分析を行うツールを開発して、ツールによる分析結果を2015年度後期の北海道大学の講義や学習指導に適用し、学習の効率・理解度・定着度などからその効果を検証する。

 個人情報とデータの取り扱いについては、北海道大学内に閉じたシステム環境下で、本人の同意を得た上で取得したデータや個人情報の分析を実施。取得したデータや個人情報の保管には万全を期した上、実証終了後に破棄するとしている。

三柳 英樹