ニュース
LinuxCon + CloudOpen 2015レポート、最新のOSS動向などを解説
Docker+LinuxがOSの未来?
(2015/6/10 06:00)
「Docker + LinuxがOSの未来」
3日目の最初のキーノートセッションには、Docker社のSteve Francia氏が登壇し、「Docker + LinuxがOSの未来だ」と語った。
Francia氏はまず、「OSとは何か」という問いを掲げ、ハードウェアとアプリケーションの間に入って、アプリケーションのポータビリティや分離、信頼性を提供するものだとした。そしてOSの歴史として、OS/360が登場してメモリーなどのリソースを管理し、CTSSでスケジューリングを提供するようになったことをふり返った。
そして、使う人が限られていた1960・70年代と、コンピュータが身近になったがソフトウェアの配布をフロッピーなどに頼る1980・90年代を経て、1995~2005年にインターネットの時代になってブラウザからLinuxサーバーのアプリケーションを使うように一変したことを説明した。
さらに2005~2015年には、クラウドやモバイルなどのための分散アプリケーションの時代となり、アプリケーションがサービスの固まりになって、それらのサービスをきちんと運用管理するにはどうしたらいいかというのが課題となった、と氏は論じた。
つまり、昔のOSは1つのマシンのリソースを管理していたが、今は複数のノードをまたがって、コンポーネントをスケジュールしたり、ポータビリティを提供したりする必要がある。「OSはアプリケーションに合わせて進化しなくてはならない。Linuxはその基盤になるが、もう1つレイヤーが必要だ。そこで、Docker + Linuxが新しいOSとなる」とFrancia氏は主張した。
ここでFrancia氏はDockerを紹介した。Dockerの原点で中心となるのが「Docker Engine」で、コンテナーを使って、コンポーネントとリソースをポータブルな形でスケジューリングする。最近ではオーケストレーションのためのツールとして、Docker ComposeやDocker Machine、Docker Swarmも提供している。
中でもその役割として、かつての1台で完結したアプリケーションと同じように、依存性を保った形で同じアプリがどこでも動くことを強調。「これはこれまで存在しなかった」と語った。
Dockerの採用事例としては、オンラインショッピングのギルト・グループ(Gilt Groupe)と、グローバル金融機関のアイエヌジー(ING)が紹介された。ギルト・グループの場合、7つのモノリシックなアプリケーションで構成されていたため、開発からデプロイまで数週間かかっていたという。これをDockerの採用により、400以上のマイクロサービスに分割したことで、デプロイまでの時間を数分に短縮。1日に100回以上のデプロイや、ピーク時の対応などが可能になったという。
また、アイエヌジーの場合はデプロイまでに9か月以上かかっていたため、問題を修正するにもそれだけの時間が必要だったという。これがDockerの採用により、デプロイを15分に短縮。週に1500回のデプロイを実現し、アプリケーションがどんどん改善されているという。
最後にFrancia氏は、「未来は、確立されているもの(established)を破壊(disrupt)する人によって作られる」と語り、「分散アプリケーションが未来。そして、Linux + DockerがOSの未来だ」と述べた。