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米PC Pitstop、PCチューニング・セキュリティ統合化ソフトを国内で本格展開

米国の陸・海・空軍で正式採用のクラウド製品

 米PC Pitstopは、クラウド型PCチューニング・セキュリティ統合化ソフト「PC Matic」の日本における販売戦略を強化する。

 PC Pitstopは、PCメーカーのゲートウェイにおいて、コンシューマ事業担当の上級副社長を務めたロブ・チェン氏が、1999年に設立した企業だ。2014年の売上高は前年比71%増の1090万ドルと、急成長を遂げている。

 同社の代表的製品となるPC Pitstopは、ゲートウェイ時代に培った顧客サポートの重要性と、メンテナンスの必要性に着目。PCのメンテナンスを定期的に行うことで、購入時点の処理速度を維持することができるのが特徴で、「常に最高スピードで疾走するF1レースのように、定期的にピットストップでメンテナンスをすれば、PCは購入時のスピードを維持できるところから、PC Pitstopという社名になった」(米PC Pitstop マーケティングディレクターのライル・シュクニク氏)という。

 具体的には、修復、最適化を行う「PCチューニングソフト」の機能と、スパイウェアなどの有害なウイルスソフトのスキャンを行う「セキュリティ保護ソフト」の機能を統合。クラウドを通じて、これからの機能を自動的に提供するソフトウェア製品である。

米PC Pitstop マーケティングディレクターのライル・シュクニク氏
PC Maticの売上推移

 米国においては、コンシューマ向けWindows版セキュリティソフトウェア分野において、第1位の売り上げを達成。米陸軍、海軍、空軍で、正式に採用されているほか、第三者機関からも高い評価を得ているという。

 PC Maticユーザーの許諾をもとに、PCの情報を収集および蓄積。2億5000万台以上にのぼる膨大なPCデータベースを利用することで、より精度の高い最適化を実現。さらに、ドライバなどの自動更新機能や、Adobe Reader、Flash、Java、Chrome、Firefoxといった脆弱性を抱えやすい主要アプリケーションの自動更新機能を提供。常に最新で、最適な環境を自動的に構成することができる。

 シュクニク氏は、「当社はクラウドという名称がない2000年から、クラウドを通じたPCの自己診断サービスを無償提供。2003年からはスパイウェアの診断機能を追加するとともに、2005年にはPC最適化ソフトウェアを投入していた。また2011年以降は米国、英国、日本で広告展開を開始し、認知度が拡大。2014年には、中小企業向けのMSP事業者向けソリューションであるPC Matic/MSPを投入した」とこれまでの経緯を語る。

 PCの安定性を高めるために、不必要なファイル削除、不要スタートアップ削除、レジストリ最適化、ネットアクセス最適化、デフラグ機能、ドライバー自動更新、著名アプリ自動更新機能を提供しているという。

 セキュリティソフトの機能としては、PC Maticのセキュリティエンジン「PC Matic SuperShield」に、独自のホワイトリストアプローチを採用しているのが特徴。多くのセキュリティソフトに採用されているブラックリスト方式、挙動検知方式に加えて、安全なソフトをリスト化したホワイトリスト方式の3つのエンジンを搭載することで、高速化と高い検知率を両立する。2014年4月にVirus Bulletinが行った調査によると、PC Matic SuperShieldは、Windows 7 Professionalにおける未知のウイルス検知率で1位になっている。

 米PC Pitstop テクニカルディレクターのロバート・ウッドワース氏は、「PC Pitstopは、セキュリティの世界では、10年以上の歴史を持つ。検知済みサンプルを顧客から入手し、1日以内に対応することができる。また、一般的なアンチウイルスソフトウェアよりも、50%も高い検知率を誇り、メタデータで収集されたものはリアルタイムで分析。4つの阻止アルゴリズムとヒューリスティックスキャンを実施。未知の脅威を検知することを重視している」と述べた。

 PC Matic SuperShieldでは、まずはホワイトリストに照らし合わせて、合致したものはそのまま実行させる。さらに、過去に検知されたウイルスのデータベースによる、3つのブラックリストで検知。ここに合致したものは実行を阻止する。これらに合致しないものでも、ヒューリスティック分析によって疑わしいものは検知するという。

著名アプリとドライバの自動更新
米PC Pitstop テクニカルディレクターのロバート・ウッドワース氏
SuperShieldエンジンの特徴

 同社では米国市場において、広告展開を通じた訴求活動により認知度を拡大させ、シェアを高めてきた経緯がある。今年度だけで510万ドルの広告投資を計画。そのなかには日本への広告投資費用も含まれているという。

 「創業者のロブ・チェンが、スポークスマンとして、テレビCMに登場し、ブランド認知を高めている。日本でも同じように展開していくことになり、月2万ドル程度を計画している。日本にもしっかりと広告投資をしていく。米国では1ドル広告に投資すれば、1ドル40セントのリターンがある。日本でも同様の広告効果を見込みたい」(米PC Pitstop・シュクニク氏)とした。

 日本では、2009年からオンライン版のPC Maticを発売。価格は、5台まで利用できる1年版が4980円、永久ライセンス版は1万7000円。今年3月からAmazon.comを通じて発売したパッケージ版は1年版が6280円、永久ライセンスが1万7000円。

 2013年には、日本でもテレビCMを試験的に実施。2014年末からはCS局での広告展開を開始したほか、今後はテレビ神奈川、テレビ埼玉などの地方局を中心にテレビCM展開を行うという。

 PC Pitstopの日本における広告、および顧客サポートを行っているブルースターの坂本光正社長によると、「日本では2009年の発売以来、1万5000本の出荷実績があり、2012年からは、AOSテクノロジーズの『ファイナル高速化』としてパッケージ製品を出荷。こちらは約8000本の出荷実績がある」としたほか、「2016年には、PC Matic/MSPの国内投入も計画している」と語った。

 「この成長を可能としているのはテレビ広告による認知度向上と、継続的な技術進化によるものだ」(PC Pitstop・シュクニク氏)。

ブルースター 代表取締役社長の坂本光正氏

大河原 克行