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Windows 7以降ではWindows 10へ無償アップグレード可能に

米Microsoft、Windows 10の新しいプレビュー版を1月末に提供予定

 1月21日開催されたWindows 10の新機能に関するプレスイベントにおいて、Windows 10の新しいプレビュー版の提供を1月末に行うことが発表された。また、Windows Phoneに提供されるWindows 10も2月中にプレビュー登録者に提供される予定だ。またWindows 7、Windows 8.1、Windows Phone 8.1の既存のユーザーに対しては、Windows 10のリリース後1年間は、無償でアップグレードできるようにすると発表された。

音声認識/会話アシスタントのCortana搭載

 新しいプレビュー版では、音声認識/会話アシスタントのCortanaが搭載されている。Cortanaは、単なる音声認識エンジンではなく、OneDriveのデータやローカルのデータにアクセスして、さまざまな個人データを機械学習で認識して、ユーザーの操作を手助けしてくれる。

 例えば、旅行に行っている家族を飛行場まで迎えに行くときに、今までなら、電子メールやスケジュール帳に入っている飛行機のフライト情報を確認して、飛行機会社のWebサイトに行き、到着時間などを確認する必要があった。その後、別のサイトで、飛行場までの道路の混雑状況を確認して、いつ車で出発すればいいのか、どのルートを通ればいいのかを確認したりする必要があった。

 Cortanaを利用すれば、電子メールのやりとりやスケジュール帳の情報から、家族がどのフライトに乗っているのかを認識し、ユーザーの居る現在値を認識。道路の混雑情報をサイトで調べ、道路情報を確認し、最も適切なルートと出発時間をユーザーに知らせる。もちろん、タブレットやスマートフォンを持っていれば、カーナビ代わりにナビゲーションもしてくれる。

 このように、ユーザー自身で複数の操作が必要だったことを、Cortanaでは音声認識と機械学習機能を利用して、一連の動作でユーザーが求める操作を行ってくれる。

 Cortanaが目指しているのは、ある意味、2000年台にAppleや多くのPCメーカーが目指したPersonal Digital Assistant(電子秘書/デジタルアシスタント)を実際に実現したモノだろう。日本国内ではWindows Phoneが提供されていないため、Cortana自体のサービス提供がどうなるかわからないが、Windows 10に搭載されるので、遠からず日本語版のCortanaも提供されることになるのではないか。

Cortanaは、PC版Windows、タブレット、Windows Phoneなど、新しいWindows 10にデフォルトで搭載される

新ブラウザのProject Spartan

 またWindows 10には、Project Spartanという新しいブラウザが搭載される。Spartanは、Web標準を全面的に採用した軽量、コンパクトなブラウザを目指して開発された。今後Windows 10には、既存のInternet Explorer(IE)とSpartanの2つのブラウザが搭載されるようになる。

 これは、FirefoxやChromeなどが頻繁にバージョンアップを繰り返し、HTML5などのWeb標準規格を積極的に取り入れていることに対抗するためだ。Windows 8では、IEを頻繁にバージョンアップしていくとの方針が示されていたが、OSと融合しているIEをバージョンアップするのは非常に大変な作業になる。また、IEは多くの企業で使用されているため、頻繁に機能アップされるのは使い勝手の面でも問題になる。そこで、軽量、コンパクトかつ高速なブラウザとして、Spartanが提供されたのだろう。

 SparatanのUIは、FirefoxやChromeなどに非常に似ている。IEが持つごてごてしたモノではなく、シンプルなUIとなっている。またCortanaとSpartanは融合しているため、さまざまな操作や情報の取得が音声で簡単にできるようになっている。

新しいブラウザSpartanのUI。シンプルで、FirefoxやChromeに似ている。スクリーンサイズの異なるPC、タブレット、スマートフォンでも利用しやすくなる

VRヘッドマウントのHoloLensなどを提供

 今後ビジネスにおいて、大きなインパクトを与えるのがWindows HolographicとMicrosoft HoloLensだ。

 Windows 10には、Windowsのアプリケーションを現実世界とインターラクションするためのWindows HolographicフレームワークとAPIが用意された。これにより、専用のヘッドマントディスプレイに映し出された現実世界に各種アプリケーションやWindows 10のタイルなどをオブジェクトとしておくことができる。

 例えば、シースルーレンズを使ったヘッドセットを使えば、空中にWindowsのタイルを表示したり、アプリケーションを表示したりすることができる。また、現実空間の座標を認識しているため、冷蔵庫のドアに時計やメッセージを張り付けたり、3D CADで設計しているバイクを、現実のバイクに重ね合わせたりすることができる。

 このようなことに使えるデバイスとして、Microsoft HoloLensというヘッドセットがMicrosoftから提供される予定だ。HoloLensは、VR用のヘッドセットとは異なり、シースルーレンズにスクリーンを表示するようになっている。また、HoloLens自体がコンピュータの機能を持っている。

 Google Glassのように、スクリーンを単純に表示するだけでなく、現実空間とインターラクションできるようになっているので、現実に見ている物体にメモを張り付けたり、コメント入れたりすることができる。さらに、モーションセンサーが入っているため、指などの動きによって操作が行える。

 Microsoftでは、現実空間と仮想空間を融合させるコンピュータとして、Hologram Computingと称している。

 Hologram ComputingがWindows 10ですぐに普及するとは思えないが、次の10年を切り開く新しい分野といえるだろう。もし、Hologram Computingが普及していくなら、全く新しいサービスが出てくるかもしれない。

Microsoft HoloLensとWindows Holographicを利用すれば、現実空間にアプリケーションを表示することもできる

 今回紹介されたWindows 10の機能は、代表的なモノで、細かな機能などは実際に新しいプレビュー版が出た段階でレビューを行いたいと思う。技術の詳細に関しては、4月末に行われるBuild 2015において、より細かな解説が行われるだろう。

Windows 10では、各種設定を行うAction Centerが追加された
PC版では、デスクトップモードとタブレットモードの2つのスタートスクリーンが用意されている
スマートフォンとPCにおけるWindows 10のスタートスクリーン。PC版ではデスクトップと融合されているが、スマートフォンではタイルのスタートスクリーンとなっている。PC版でも、タブレットモードでは、スマートフォンと同じスタートスクリーンとなる

山本 雅史