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日本IBM、高セキュリティなシングルテナント型PaaS「Bluemix Dedicated」

Bluemix Dedicatedの特徴

 日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は15日、クラウド型のアプリケーション開発プラットフォーム「IBM Bluemix」を強化すると発表した。シングルテナント型の「IBM Bluemix Dedicated」を提供開始するほか、既存システムとの連携を強化する「プライベートAPIカタログ」などを新たに提供する。

 Bluemixは、IBMのIaaS基盤であるSoftLayerの上に、Cloud Foundryなどのオープンスタンダード技術をベースにして構築したPaaS。ユーザーインターフェイスや外部ソフトウェア/ソーシャルサービスとの連携機能を追加しており、6月に正式サービスが開始された。

 今回発表されたBluemix Dedicatedは、SoftLayerのベアメタル(物理)サーバーを利用し、専用区画/シングルテナントで提供するのが特徴。提供の経緯について、日本IBM ソフトウェア事業本部 クラウド・プラットフォーム・サービス事業部の高瀬正子事業部長は、「お客さまにお試しで利用いただいた際に、もっとも大きな声としてあったのがセキュリティについて。それを受けて、当初のプランをものすごく早く進め、シングルテナントのサービスを発表した」と話す。

 また、「シングルテナントのため、リソース計画が予想可能な点もメリット。またネットワークについてもVPNによる高いセキュリティとスピードに対応するほか、クラウドサービスなので、リソースの追加・変更が容易」(高瀬事業部長)とのことで、セキュリティを保ちながらも、クラウドの柔軟性は引き続き提供するとした。

 提供形態としては、ランタイム(Liberty、Node.js、Ruby、Buildpack)がメモリ容量128GB、Cloudantの最大容量が1.6TB、データキャッシュとセッションキャッシュがそれぞれ50GBといったリソースの「基本パック」が月額約400万円(税別)から。1年を最低契約期間とし、以後は月単位で利用できる。なお、契約期間内ならいつでもリソースの増強が可能で、削減については月単位で対応するとのこと。なお、データセンターは北米やロンドンに加え、開設が予定されている東京のセンターも選べるようになる予定だ。

Bluemix Dedicatedの提供モデル
日本IBM ソフトウェア事業本部 クラウド・プラットフォーム・サービス事業部の高瀬正子事業部長

 一方、マルチテナントのBluemixの方でも、オンプレミスなどの既存システムとの連携を見据え、強化が行われた。まず、オンプレミス上のアプリケーションの機能やデータと安全かつ簡単に連携できるよう、「プライベートAPIカタログ」機能が追加された。オンプレミス環境とBluemixを安全に接続するCloud Integrationサービスの新機能によって実現されているとのことで、Bluemixのカタログ上に専用アイコンとして追加され、ほかのサービスと同様、簡単に活用できるようになる。

 このほか、注目を集めるコンテナ型仮想化技術「Docker」との連携もサポートした。SoftLayerのベアメタルサーバーにデプロイされたDockerのコンテナと連携できるようになったことで、Bluemixからコンテナを呼び出して、独自の環境に基づいた開発を自由に行えるという。

プライベートAPIカタログ
Docker連携

 活用支援という面では、IBM東京ラボラトリー内に「エンタープライズBluemixセンター」を新設。グローバルのBluemix組織と連携して、日本のユーザーがエンタープライズ環境でBluemixを活用するための技術支援などを行うとのこと。なお、サービスの開始は2015年第1四半期を予定している。

 「Bluemixでは、発表時に約30だったAPIが今は80を超える数になるなど、旧来のソフトウェアでは、3~5年くらいの時間に相当する変化をBluemixでは半年で実現した。シングルテナントやDockerについても、当初の予定よりも相当早く対応しているし、今までと同じスピード感ではない。IBMでは、お客さまのニーズに対して、柔軟に対応していく」(高瀬事業部長)。

エンタープライズBluemixセンターの役割

石井 一志