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オラクル、プライベートクラウド導入を支援する運用管理ツール最新版

「複数DBの一元管理」や「企業内DBaaSの展開」を実現

日本オラクル 執行役員 データベース事業統括 製品戦略事業統括本部長の山本恭典氏

 日本オラクル株式会社は7月15日、プライベートクラウドの迅速な導入を支援する運用管理ソリューション最新版「Oracle Enterprise Manager 12c Release 4」を本日より提供開始すると発表した。

 今回の最新版では、「複数のデータベース(DB)の一元管理」、「プライベートクラウドの構築・管理」、「データベースのセキュリティ強化」の大きく3つの機能を強化し、企業のプライベートクラウド導入と効率的な運用管理を支援する。日本オラクル 執行役員 データベース事業統括 製品戦略事業統括本部長の山本恭典氏は、この機能強化の背景について、「現在、DBを運用しているシステム管理者は、様々な課題を抱えている。例えば、性能問題解決のためのログ収集および手作業での解析に非常に手間がかかる。また、新規サービス構築や開発環境のためのDB構築に時間がかかる。DBのセキュリティ対策をどこからはじめたらよいのかわからないなど。最新版では、こうした課題を解決するための機能強化を行った」と説明している。

「Oracle Enterprise Manager 12c Release 4」のデモ画面
「Automatic Workload Repository(AWR)Warehouse」機能の概要

 まず、複数のDBの稼働状況を一元的、長期的に管理・分析できる新機能「Automatic Workload Repository(AWR)Warehouse」を追加した。同機能では、従来は標準で8日間しか保存しない複数DBの統計情報を、本番システムとは切り離された環境で長期間保存して分析を行うことが可能となる。「これにより、DBからのシステム全体の見える化を強化する。DBのパフォーマンス・チューニングに必要となる稼働統計やアプリケーションが発行するSQL、ワークロードに関する情報など稼働状況を見える化するとともに、アプリケーションを構成するデータモデル、DBのテーブル、ソフトウェアやOSのバージョンなど構成情報を見える化する。また、パッチの適用状況やアクセス制御などセキュリティの見える化も実現する」(山本氏)としている。

 2つめの「プライベートクラウドの構築・管理」の機能強化では、あらゆる構成のDBをサービスカタログとして準備することが可能となり、企業内へのクラウド(DBaaS)の迅速な展開を実現する。この機能強化についてデータベース事業統括 製品戦略統括本部 プロダクトマーケティング本部 Database&Exadata推進部 部長の桑内崇志氏は、「従来、新規サービスの構築や新規開発環境のためのDB構築には、多くの関係者の協力が必要となり、多大な時間がかかっていた。今回の最新版では、サービスカタログを活用することで、アプリ開発者がセルフサービスでDBaaS環境を短時間でセットアップできる。これにより、企業内におけるDBaaSの構築工数の大幅削減と迅速な導入が可能になる」と説明している。

データベース事業統括 製品戦略統括本部 プロダクトマーケティング本部 Database&Exadata推進部 部長の桑内崇志氏
「エンタープライズ・データ・ガバナンス」機能の概要

 そして3つめの「DBのセキュリティ強化」では、管理対象にあるDBに含まれている機密性の高いデータを体系的に発見し、保護するための機能「エンタープライズ・データ・ガバナンス」を追加した。「この機能では、管理対象の全DBの中から、機密データや個人情報など保護すべきデータがどこのテーブル、カラムに含まれるかを特定する。特定した機密データや個人情報は、Oracle Database Security製品と連携し、セキュリティ対策を実施することができる」(桑内氏)という。

 また、「セキュリティ&コンプライアンス・チェック機能」も新たに追加。クレジットカード業界のセキュリティ基準であるPCI DSSや、米国国防総省のセキュリティ技術導入ガイドラインSTIGなどのセキュリティやシステム監査に対応したテンプレートを提供し、それぞれの基準に基づいてシステム全体のセキュリティ状態をチェックすることが可能となった。

 なお、同社では、「Oracle Enterprise Manager 12c Release 4」のリリースにともない、システム部門エグゼクティブ向けハンズオン・トレーニングを本日より本格的に展開する。このトレーニングは、システム部門の部門長やCIO(最高情報責任者)を対象にしたもので、「Oracle Enterprise Manager 12c Release 4」を実際に操作して、システムのトラブルを解析し、簡単な操作で正確な問題点の特定やチューニングなどの運用イメージを体感できる。

唐沢 正和