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日立、ビッグデータ事業でプライバシー保護のための取り組みを強化
プライバシー影響評価を実施、侵害リスクを最小限に
（2013/5/31 13:43）
株式会社日立製作所（以下、日立）は31日、ビッグデータ事業におけるプライバシー保護のための取り組みを強化すると発表した。今後、同社で提供するビッグデータ利活用に関するサービスやソリューションに反映していく。
「日立が、顧客やパートナー企業に対して、ビッグデータの利活用を前提としたサービスやソリューションを提供する際に、日立が独自に用意したチェックリストに基づいて、プライバシー影響評価（PIA＝Privacy Impact Assessment）を実施し、プライバシー侵害リスクを最小限にすることになる」（日立 情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部の柴原節男統括本部長）という。
PIAは、パーソナルデータを取り扱うシステム、事業、サービスなどにおいて、プライバシーへの影響を事前に評価し、プライバシーの侵害を未然に防ぐほか、継続的にプライバシー保護で遂行されるように、運用面、技術面での対策を講じるものとなる。
さらに、サービスやソリューションを導入後に、日立が運用を支援する際にも、新たなプライバシー保護の枠組みを用意。これを、新たに設置するプライバシー保護責任者のもとで体系的に運用するという。
ビックデータの「取得・変換」、「蓄積」、「分析・活用」、「廃棄・返却」といったプロセスにおいて、それぞれに適したプライバシー保護対策を実施。データ取得において、取得日や取得方法などの記録、利用目的の達成に必要以上のデータを取得しないこと、データの取扱者を限定し、アクセス制御をかけること、分析担当者を限定すること、データ取得時にデータ提供者とデータの保管期間、廃棄方法について合意しておくことなどを盛り込んでいる。
これらは、日立のデータ・アナリティクス・マイスターサービスとして提供することになる。
1件あたり約500万円規模の案件を中心に、年間約20件の導入を見込んでいる。
また、「今回の取り組みは、規制や制度を先取りしたものであり、規制や制度、技術動向などをとらえながら進化させていくものになる」（日立 情報・通信システム社 スマート情報システム統括本部 ビジネスイノベーション本部の岩下直行担当本部長）としている。
さらに、日立では、プライバシー保護に対する基本的な考え方、技術的対策、社員教育などの社内環境整備のための活動のほか、「ビッグデータビジネスにおける日立のプライバシー保護の取り組み」としてホワイトペーパーにまとめ、同社サイトで公開するという。
「ビッグデータを活用する前提として、プライバシー侵害というネガティブなイメージの一掃が必要である。また、日立は個人情報保護には積極的に取り組んできたが、それを訴えるだけでは不十分という問題もある。従来は個人情報を保護すればそれほど問題はなかったが、ビッグデータ時代の到来によって外部環境が変化。プライバシー侵害が問題とされる事例が続出している。パーソナルデータのなかには、個人情報ではないが、プライバシー性がある情報も含まれており、ビッグデータを安全、安心に推進するためには、個人情報保護に加えて、プライバシー保護に配慮することが不可欠となってきた。プライバシー侵害によるリスクを慎重に見積もり、正しく判断すべきであり、そうした課題を解決するものになる」（岩下担当本部長）と、今回の取り組みの背景について触れる。
情報収集の際に、有効かつ適切に顧客の同意を得ること、顧客に提示した利用目的から外れない情報利用を徹底すること、データそのものの内容に加えて、収集時の条件や利用目的なども含めて検討することが大切だとし、「こうした配慮をして、初めてビッグデータのメリットが享受できる」とした。
一方で、これらの内容やノウハウ、知見などを活用し、日立コンサルティングが、サービスメニューのひとつとして、プライバシー保護対策支援コンサルティングを6月5日から提供する。価格は個別見積もりとなる。
「パートナー企業においても同じ問題を抱えていると考えている。事業として提供することで、広く活用してもらう」（岩下担当本部長）と位置づけている。
