ニュース

「クラウドやエンジニアド・システムでITシステムの近代化を支援する」~米Oracle マーク・ハード氏

米Oracle プレジデントのマーク・ハード氏

 日本オラクル株式会社は25日、米Oracle プレジデントのマーク・ハード氏が来日したことに伴う記者会見を開催。同時に、クラウド型の統合サービスソリューション「Oracle RightNow Cloud Service」(以下、RightNow)を提供するデータセンターを、国内に開設したことも発表した。

 ハード氏はOracleの戦略について、大きく4つの強みを持つと説明する。1つ目は「ベストブリード」。ハードウェアからOS、ミドルウェアに至るまでの各レイヤで最高の製品を提供するとともに、オープン性を維持しているため、顧客は他社や自社開発のシステムと組み合わせて、ベストブリードの環境を構築できるとする。

 2つ目の強みは、エンジニアド・システムによる“統合”の価値を提供できること。データベース向けの「Oracle Exadata」以来、ハードウェアとソフトウェアを統合して最適化し、Oracle自身が検証して提供しているエンジニアド・システムを用いることで、顧客は大きな価値を得られると、ハード氏は話す。

 特に、「お客さま向けの統合を当社が行い、テストし、保証して届ける。つまり、通常はIT部門が行う作業を出荷前に当社が行っている」という点は大きなメリットだと強調。さらに、すべてをOracleが提供するため、一貫したサポートを届けられる点も大きな価値があるとした。

 3つ目の強みは、クラウドだ。IaaSやPaaS、SaaSなどのクラウドサービスを提供し、オンプレミスでもプライベートクラウドでも、パブリッククラウドでも利用できるようにしているため、顧客に価値を届けられるとする。

 ハード氏はその例として、「お客さまはこれまで、ピークの使用量にあわせてシステムを設計してきたが、今や平気時にあわせて構築し、バースト時にはOracleのクラウドから借りてくる、といったハイブリッド型ができる」と説明。日本でもデータセンターを開設することにより、クラウドの需要が増えているので今後も投資を継続すると述べた。

 「データセンターに関しては世界中で同一のモノを展開するので、クラウドのプラットフォーム、インフラ、アプリケーションなどがいずれも展開できるようになる。したがって、RightNow以外のSFAなども今後拡張していく計画だ。もちろん言語対応など、アプリケーションのローカル化などは必要だが、基本的な機能は同一なので、世界中でデプロイしていく」(ハード氏)。

 4つ目としてハード氏が挙げたのは、特定の業界業化に特化した取り組みである。金融、ヘルスケア、通信、物流などなど、Oracleでは多くの業界に対して特化型ソリューションを提供しており、これまでもその業界固有の問題解決を支援してきた。今後もこの戦略は継続される、というわけだ。

 そして特筆すべきなのは、こうした4つの強みがすべて関連している点だという。「エンジニアド・システムはベストブリードな製品をもとに成り立っているし、クラウドはベースとしてエンジニアド・システムを利用する。また、特定業界についても多くの知的財産やクラウドを活用して差別化を図っている」と述べたハード氏は、年間50億ドル規模という開発投資や企業買収などによって、こうしたコアコンピタンスをさらに強化していく姿勢を示した。

 なお、昨今のITの変化をどう思うかという報道陣からの質問については、「コンシューマの変化が背景にある。スマートフォンのような小さなデバイスが、かつてわたしがIT業界に足を踏み入れた時のメインフレームくらいの処理能力を持つようになったし、扱う年齢層も下がってきた。コンピュータの能力を子供たちが享受できるようになった今、彼らはどこにいてもすぐに回答をほしいと思っており、ITに対する要求はかつてないほど厳しい」という点を指摘。

 その一方で、「アプリケーションはまだ古いままで、そうした状況に対応できるような形になっていないため、今はすべてを作り直し、今までの想定を超える形で刷新しないといけない時代になっている。お客さまは時間をかけてサーバーを統合したり、データベースとサーバーをつないだり、ということをやってきたが、それをシンプルに当社が提供しないといけない。そこに、クラウドとエンジニアド・システムの役割があるし、カスタマーエクスペリエンスを近代化させていくことも必要だ」と述べ、各種ソリューションで顧客のITの近代化を支援するとした。

(石井 一志)