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KVH、国内初の「100Gイーサネット専用線サービス」を提供開始

 KVH株式会社は14日、Ciena、Cyanとの協業により、100Gigabit Ethernet(GbE)専用線サービス「KVH 100Gイーサネット専用線サービス」を同日より提供開始すると発表した。他社からも100GbEのインターネット接続サービスは発表されているが、イーサネット専用線サービスとしては国内で初めてという。

 「KVH 100Gイーサネット専用線サービス」は、100GbEを用いたポイント・トゥ・ポイントの専用線サービス。最大100Gbpsの帯域幅が保障されており、冗長性が異なる「標準クラス(デュアルアクセス)」もしくは「エコノミークラス(シングルアクセス)」のいずれかから選択できる。

 対象は、大きな通信帯域を必要とするIX(Internet eXchange)やISP間の相互接続、あるいはクラウド事業者やSaaSプロバイダ、金融機関などが持つ大規模データセンター間の相互接続など。こうしたところではすでに10GbE回線が1本では足りなくなっているが、従来は10GbEまでしかメニューが存在しなかったため、10GbE回線を複数用意して利用している。

 こうした場合は、10GbE回線を束ねて疑似的に1つのネットワークとして利用するか、トラフィックをそれぞれの10GbE回線に振り分けて利用するか、のいずれかになるが、「束ねて利用する場合は、装置によってはうまく帯域を使い切れなかったり、フェイルオーバーがうまく働かなかったりすることがあるし、別々する場合は複雑な管理を強いられる」(KVH システム&テクノロジー本部の濱田義之本部長)といった問題があったという。

KVH システム&テクノロジー本部の濱田義之本部長
これまでは100GbE回線のサービスがなかったため、現状は10GbE回線を複数利用している

 しかし、これを100GbE回線1本に置き換えれば、回線単位での複雑なトラフィック管理が不要になるほか、複数の10GbE回線を利用する場合と比べて、コスト削減効果が期待できる。さらに、100GbEのバックボーンを前提としたサービスの高速化など、先進的なサービスの提供が可能になる点もメリットとのこと。

KVH 100Gイーサネット専用線サービスの特長
サービス利用のメリット

 価格は、エコノミーで100GBASE-LR4インターフェイスを利用する場合、初期費用が50万円(税別)、月額費用が500万円(税別)。100GBASE-SR10インターフェイスを利用する場合は、初期費用が50万円(税別)、月額費用が400万円(税別)。対象地域はエコノミー/標準クラスのいずれも、東京23区と神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫の一部地域となる。

 なおKVHでは、8月31日までに申し込みが行われた先着20回線(エコノミー、100GBASE-SR10、東京23区内)に対して、初期費用を無料にするほか、月額費用を250万円(税別、2年契約)とするキャンペーンを実施する。

 また、現時点では100GbE対応機器や100GbEインターフェイスといった装置の価格が高く、回線導入の妨げになりかねないことから、装置を含めてKVHが月額課金で提供する、レンタルサービスやマネージドサービスもラインアップする予定。さらに、最低20Gbpsの帯域利用をコミットし、残りの帯域幅は使った分だけを支払うといった、従量課金のサービスも提供を予定している。

 「100GbE回線のビジネスは立ち上げ段階であるが、サービスを提供すればすぐに使いたい、という引き合いを5~6社からいただいており、そうしたところへ順調にサービスを提供できれば、年内には10~20社へ導入できるのではないか。お客さまは、100GbEについてはサービスがまだ存在しないという認識でビジネスを計画されているので、サービス発表後に関心が高まれば、さらに多くのお客さまで採用が進むと期待している」(KVH 最高執行責任者の日置健二氏)。

KVH 最高執行責任者の日置健二氏
サービス構成図

(石井 一志)