「BEYOND LINUX」領域を倍増させ、前年度比30%の成長を目指す~レッドハット・廣川社長

「オープンソースの力がここまできたことが世界に伝わった」


レッドハット 代表取締役社長の廣川裕司氏

 レッドハット株式会社は3日、2012年度(2012年2月期)の業績と2013年度の重点施策を説明する、報道向けの説明会を開催。2012年度の米Red Hatの売上高が前年度比25%増の11億3000万ドルとなったことを受け、代表取締役社長の廣川裕司氏が「オープンソース企業として初めて売上高10億ドルを達成した。オープンソースの力がここまできたことが世界に伝わった決算だったのではないか」と述べた。

 リーマンショックやその後の不況などにより、世界の市場が大きく影響を受ける中、レッドハットでは2009年度(2009年2月期)の6億5300万ドルから、3年で倍近い売上高に成長。有機的な事業成長だけでなく、クラウド事業の新設、ストレージ分野ではGlusterを買収するなど積極的に事業を拡大してきた結果が現れているという。

 また廣川社長は、「Red Hatはライセンスの販売ではなく、サブスクリプションならびにサービスで対価をいただいている企業だが、40四半期連続成長している。これは、日米のIT市場でほとんど聞いたことがない状況だ、オープンソースが一歩一歩受け入れられてきた証拠ではないか」と述べた。


オープンソース企業として初の10億ドルの売り上げを達成2012年度のハイライト
2013年度の国内事業方針

 一方、国内では、2009年度から2011年度までの3年間はワールドワイドの成長率を上回っているほか、2012年度も、東日本大震災の大きな影響を受けつつも前年度比21%の成長を果たした。この理由として廣川社長は、1億円以上の巨大案件が5件、1000万円以上の大型案件も50件以上へ増えるなど、大きな案件が取れるようになったこと、クラウドビジネスが順調だったこと、ディストリビュータ経由のカバレッジが日本全国に広がるなど、パートナービジネスが拡大したこと、の3つを挙げている。

 2013年度(2012年2月期)以降については、1)市場の倍のスピードで成長する、2)プラットフォームLinux事業を20%以上成長させる、3)BEYOND LINUX事業を2倍に成長させる、といった3点を柱に事業を行うという。

 このうち、1)については、前年に強化した業種別営業部門の人員を、さらに50%以上増強するなど、ソリューション営業を強化し、場合によってはパートナーと一緒にチームを作って展開。「ユーザーのIT担当者との関係を強化し、インフラだけでなくビジネスソリューションまで対応できるようにする」(廣川社長)考えを示す。

 国内ビジネスの85%を占める基幹事業の2)については、「調査会社ではこのLinux市場を10%程度の成長と予測しているようだが、例えば(基幹Linuxの)ロングタームサポート、ミッションクリティカルサポートも拡大できるし、仮想化を通じたWindowsからの移行もあるだろう。無理だとは思っていない」(廣川社長)とした。

 また、廣川社長が最も期待しているのが3)の領域となる。これには、JBossをはじめとするSOA・ミドルウェア事業、KVMハイパーバイザーと仮想化管理製品のRHEV(Red Hat Enterprise Virtualization)を中核とした仮想化事業、クラウド事業、Glusterによるストレージ事業などが含まれ、売上高の前年度比倍増を目指しているとのこと。廣川社長は、この領域を成長させて、1)を達成するとともに、日本法人全体で前年度比30%の成長を目指したいとの目標を示した。


2013年度の注力ソリューション
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