九州大、学生演習用の仮想デスクトップ環境を構築~日立が支援
国立大学法人九州大学は29日、大学院システム情報科学府において、プライベートクラウド形態の「仮想デスクトップ基盤」を構築したと発表した。株式会社日立製作所(日立)の「大学向けクラウド型仮想デスクトップソリューション」を活用し、授業や演習などで学生が利用する高性能なPC環境とアプリケーションを、教室・研究室・自宅などからネットワーク越しに利用する。
導入したのは、学生や教員がネットワークを経由して授業に必要なOSやソフトを有した仮想PCを利用できる学内クラウド環境。その核をなす「大学向けクラウド型仮想デスクトップソリューション」は、米国で大学向けに開発されたアプリケーション提供システム「Virtual Computing Lab.」を活用しており、講義で使用する複数の仮想PCを一括予約する機能など、大学でより効果的に利用するための機能を備えている。
システム情報科学府では従来、大学院の演習で利用できる高性能PC端末の数が限られていたことに加え、教員は1台ずつ個別にセットアップする必要があった。大量のPCのセットアップは時間的に困難であったことから、演習を受ける学生の数と同数の演習用PC環境を準備するのは難しく、学生6~7名で1台のPCを利用していたという。
今回のシステム導入により、学生は特定のソフトがインストールされた専用PCでしか触れられなかった演習環境を、研究室・自習室・自宅などの端末から、演習時間外にも利用できるようになる。これにより、学生1人1台の環境を実現。演習内容に合わせたPC環境の設定作業も、一度行うだけで必要な数のPC端末へ瞬時に展開できるため、準備に要する教員の手間を削減できる。
さらに同システムでは、1台分の仮想デスクトップに割り当てるCPUやメモリといったITリソースを柔軟に振り分けられるため、演習の内容に合わせ、特に処理能力の高い演習用PC環境を用意できる。従来の演習環境と比べて、最大20倍規模のシミュレーションも可能という。
システム利用イメージ |
日立は今後も「大学向けクラウド型仮想デスクトップソリューション」をはじめ、学内システムの全体最適化を目指した大学向け情報システムソリューション「IT Solution for Campus」を開発・提供していく。