「Office 365」でSMBからエンタープライズまでクラウドの価値を提供できる~日本マイクロソフト
日本マイクロソフト株式会社は20日、パブリッククラウドサービス「Office 365」のパブリックベータ提供を受けて記者会見を開催。インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 ロアン・カン本部長は、「Office 365は、もっともよい生産性のツールを集約した、まったく新しいオファーである。生産性のもっとも高いツールを、SMBからエンタープライズまで、規模にかかわらず提供する」と述べ、Office 365の価値を強調した。
Office 365は、従来の企業向けクラウドサービス「Microsoft Business Productivity Online Services(BPOS)」の後継にあたるもの。「SharePoint Online」によるコラボレーション機能、「Exchange Online」によるメール機能、「Lync Online」によるコミュニケーション機能を提供するほか、WebブラウザからMicrosoft Officeが利用できる「Office Web Apps」、サブスクリプションベースのMicrosoft Officeのライセンスなどもあわせて提供される。
Office 365とは | インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 ロアン・カン本部長 |
インフォメーションワーカービジネス本部 ビジネスオンラインサービスグループの磯貝直之部長 |
Office 365の価値 |
インフォメーションワーカービジネス本部 ビジネスオンラインサービスグループの磯貝直之部長は、「インターネット経由でアクセスできるクラウド環境では、地理的な意味も含めた生産性が上がる。リモートワークのニーズが高まっているこういった状況の中では、有効なソリューションになり得る」と、クラウドのメリットを強調する。
また、「新しいサービスで使い方をゼロから覚えてくださいというと、個々人の生産性を含めた業務効率が上がるのかどうかは疑問。Office 365であれば、長年ご利用いただいているMicrosoft Officeがベースなので、新しいものを導入するハードルを下げられる」と、“Office”の強みを生かせる点を指摘。さらに、「コンシューマ向けのHotmailなどを含め、長年クラウドサービスを提供してきたノウハウをビジネス向けにも生かせる。SLAも提供している数少ないクラウドベンダーだ」として、自社の強みをアピールした。
サービスラインアップとしては、BPOSを引き継いだ「Office 365 for Enterprise(プランE)」に加え、25ユーザー以下を対象に機能を絞った「Office 365 for small Business(プランP1)」が用意される。
これについては、「これまでは、オンプレミスでサーバーを立てないと利用できなかったものが、クラウドによって導入の敷居が下がる。より広いお客さまにコラボレーション、コミュニケーションを利用いただける」(磯貝部長)と述べ、サーバーを自社で設置しなくても利用可能なクラウドサービスならではのメリットを、SMB層にも幅広く展開できるとした。
なお、正式版は2011年中に提供される予定で、BPOSのユーザーも2012年9月までにOffice 365への移行を行う必要がある。ただし移行については、「ある日勝手に当社が切り替えるのではなく、個々のお客さまと調整の上で移行いただくことになる」(磯貝部長)としており、柔軟に対応していく考えを示す。
これについてはユーザー企業側でも、牛角を運営するレックス・ホールディングスなどが早期移行の意思を示しているように、「BPOSのお客さまからも、Office 365へ早く移りたいというところが結構いらっしゃる」としており、Office 365は期待を持って迎えられているという。
料金面でも、機能的にBPOSの後継となるOffice 365 for Enterprise(プランE1)の価格を月額1000円(予定)からに設定しており、BPOSの月額1044円からと比べても、遜色(そんしょく)のない価格で提供可能とのこと。
なお、BPOSからOffice 365への移行にあたってのユーザー側の負担はそれほどないが、クラウドへアクセスするためのURLが変わり、リダイレクトできない一部のアドレスはブックマークなどを変更する必要があるほか、Office 2003がサポートから外れるといった、システム要件が一部異なる点に注意が必要だ。
Office 365のラインアップ | 提供までのロードマップ |
また日本マイクロソフトでは、「クラウド導入キャンペーン」を5月末まで実施。期間中にBPOSを購入し、あわせてOffice 365のパブリックベータに登録したユーザーに対して、3カ月分のキャッシュバック(最大25ライセンスまで)を行い、ユーザーのクラウド利用を促していく。
「お客さまから、自社が保有している重要なデータ、情報、知財がクラウド内にあって、バックアップがきちんとできていたことがよかった、という意見を最近いただいた。当社のように東京を拠点としている会社では、電力など複数のリスク・課題を抱えており、Exchange OnlineやLync Onlineなどで、自宅にいてもオフィスにいても生産性高く作業ができることは、特に夏場には大きな武器になるのではないか」(カン本部長)。