SAPジャパン、BIソリューションと企業情報管理ソリューションの最新版

インメモリーコンピューティング技術に対応しリアルタイム分析を実現


SAP Labs シニアバイスプレジデント BI/EIMソリューション管理担当のデイブ・ワイズベック氏

 SAPジャパン株式会社は3月9日、ビジネスインテリジェンス(以下、BI)ソリューションの最新版「SAP BusinessObjects Business Intelligence 4.0」(SAP BusinessObjects BI)、および企業情報管理ソリューションの最新版「SAP BusinessObjects Enterprise Information Management 4.0」(以下、SAP BusinessObjects EIM)を本日より提供開始すると発表した。

 「SAP BusinessObjects BI」と「SAP BusinessObjects EIM」の最新版では、両製品の連携を強化。BIシステムへのデータの収集から最終的に構築されたダッシュボードまで、情報基盤全体におけるライフサイクルを可視化し、IT環境の複雑性の軽減とシステム展開期間の短縮を実現する。また、インメモリーコンピューティング技術や主要なモバイル端末への対応、さらには、正確なビジネスデータとソーシャルデータの両方を確実に活用可能など、さまざまな新技術を採用している。

 SAP Labs シニアバイスプレジデント BI/EIMソリューション管理担当のデイブ・ワイズベック氏は、最新版の発表にあたり、「今回の最新版は、3年間にわたって開発を行い、次世代の革新的な技術を取り入れた過去最大のリリースとなる。これまでのBIは、企業のIT部門が各種情報を分析してビジネス部門に提供していた。しかし、最新版の提供によって、セルフサービスでの情報分析がより容易になり、多くの組織が競争優位性をもって情報を利活用することが可能となる」と述べている。

インメモリーを活用したSAPのイノベーション

 最新版の大きな特徴は、大量データをリアルタイムに取得・分析できる点だ。特に、インメモリーコンピューティング・ソフトウェア「SAP High-Performance Analytic Appliance」(以下、SAP HANA)との統合を実現しており、社内外に存在する複雑化した膨大な量のデータを超高速で取得、分析することが可能となった。また、買収したサイベースのカラム型データベース基盤との連携により、BIのパフォーマンスを大幅に向上している。さらに、SAPの基幹系システムのデータウェアハウス「SAP NetWeaver Business Warehouse」との連携を最適化し、従来と比較して処理速度を5倍に高速化している。

 あらゆるモバイル端末からリアルタイムにBIのコンテンツへアクセスできるのも最新版の特徴となっている。インターフェイスを刷新し、操作性を大幅に向上したほか、サイベースのSybase Unwired Platformを活用することで、モバイルに包括的なBIコンテンツを提供。SAPだけでなく、SAP以外のビジネスアプリケーションの豊富なコンテンツも利用することができる。

SAPのビジネスアナリティクス エンドツーエンドのソリューションを提供

 また、構造化データや文書、電子メール、ブログやTwitterといったソーシャルデータを含む非構造化データなど、あらゆる社内外のデータを仮想的に統合することが可能となった。これにより、企業横断型のデータを共通言語で統合管理でき、ITユーザーとビジネスユーザーは、単一の環境でデータの分析や監視を行うことができる。

 「SAP BusinessObjects BI」と「SAP BusinessObjects EIM」の連携強化では、ソースデータの収集・変換からフロントエンドのユーザーの閲覧情報まで、それぞれの段階において内容に変更事項が生じた際に発生する影響度を即時に測定することが可能となった。システム統合の際に、従来まで手計算で行っていた業務に与える影響度を迅速に見積もり、一目でわかる分析結果を得ることができる。また、従来のSAP製品で管理しているIDを一元管理できるようになり、アプリケーションライフサイクル管理のプラットフォーム「SAP Solution Manager」やアイデンティティ管理ソフトウェア「SAP NetWeaver Identity Management」との統合も実現している。

SAPジャパン ソリューション営業統括本部 本部長 バイスプレジデントの上野豊氏

 国内での販売戦略について、SAPジャパン ソリューション営業統括本部 本部長 バイスプレジデントの上野豊氏は、「まず、既存のSAP ERPおよびSAP NetWeaver BWの顧客に向けて、最新版の導入によるパフォーマンス改善やTCO削減のメリットを提案していく。また、BIをフロント、EIMをバックエンドで利用している顧客に対しては、両製品の統合によるTCO削減を推進する。さらに、大容量データを扱う流通・小売業、金融業への高速アプリケーション基盤として提案を行うほか、公益サービスのメンテナンス現場や流通・小売業での店舗業務、製薬・医薬業界のMR業務など、モビリティとの融合によるビジネススピードの変革を訴えていく」との考えを示した。

 同社では、「SAP BusinessObjects BI」と「SAP BusinessObjects EIM」の最新版について、既存パートナーとの共同プロモーションなどを進めることで、新規導入150社を目指す。また、「SAP HANA」については、新規パートナーを5社募り、40社への新規導入を目標としている。

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