レッドハット、クラウドアプリ管理ツール「Makara」を披露


米Red Hat社 ミドルウェア事業部 製品担当シニアディレクター アシッシ・バダニ氏

 レッドハット株式会社は17日、PaaS関連の戦略について記者説明会を開催。2011年11月に買収したMakara社の技術を中心に、米Red Hat社ミドルウェア事業部 製品担当シニアディレクターのアシッシ・バダニ氏が説明した。

 Red Hatではクラウド戦略として、各種パブリッククラウドプラットフォームやオンプレミスのインフラなどを共通して扱えるようにし、アプリケーションや管理のポータビリティを持たせるAPI「Delta Cloud」を推進。Delta Cloud上でサービスを提供するミドルウェア「Cloud Engine」も開発している。アプリケーションから見るとさまざまなクラウドで共通に使えるアプリケーションプラットフォームであり、一種の仮想PaaSのような性格を持つことから、同社ではJBoss製品群も組み合わせた一連のプラットフォームを「Red Hat PaaS」と呼んでいる。

 バダニ氏は、既存のクラウドプラットフォームと比べたRed Hat PaaSの特徴を、クラウドプラットフォームやアプリケーションフレームワークなどを自由に選択できることだと説明した。

 今回披露された「Makara(Makara Cloud Application Platform)」は、アプリケーションを異なるクラウドインフラに同じように配備し、管理するツール。現在はWeb上のサービスとして提供されている。利用する側は、Makara上で仮想的なサーバークラスタを作成し、利用するソフトウェアコンポーネントを選んだうえで、アプリケーションを配備する。また、運用監視やパフォーマンスのモニタリングのほか、自動スケーリングの機能も持つ。

 現在のところ、クラウドインフラとしてはAmazon EC2とRackspace Cloudに対応。ソフトウェアコンポーネントとしてはJavaやPHP、JBoss Application Server、MySQL、MongoDBなどに対応している。

 Red Hatは今後、MakaraをRed Hat PaaSの中に取り込んでいく。第1段階ではMakaraのサービスをRed Hatがホスティングし、他社の提供するクラウドプラットフォームにアプリケーションを配備するためのツールとして提供する。以後、MakaraをCloud Engineに取り込み、企業内からプライベートクラウドとパブリッククラウドを透過的に扱うためのツールにしていく考えだ。

 バダニ氏は、クラウドプラットフォームで動かすアプリケーションの開発が複雑で難しい状況になっていると指摘。実装やプロビジョニング、スケーリング、管理など、さまざまな問題を開発者が考慮しなければならない現状に対し、「その煩雑さを解決するのがRed Hat PaaS。問題を自動的に吸収し、開発者が重要でコアな部分に特化できるようにしてくれる」と述べた。

Makaraで対象のクラウドプラットフォームを選択新しいクラスタを作成
オートスケーリングの設定ソフトウェアコンポーネントの選択
アプリケーションの配備パフォーマンスのモニタリング画面
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(高橋 正和)
2011/2/18 06:00