デル、物理・仮想・マルチベンダー環境を一元管理する「AIM」

初のソフト製品、ハード・サービス込みのパッケージから発売


システムズ・ソリューションズ統括本部 アドバンスド・ソリューション開発本部 ビジネスディベロプメントマネージャの馬場健太郎氏

 デル株式会社は16日、物理・仮想・マルチベンダー環境を一元管理するソフト「Dell Advanced Infrastructure Manager(AIM)」を発売した。データセンター統合管理ソリューション「Virtual Integrated System(VIS)」の構成要素の1つで、まずはハードウェアや導入サービスとともに提供するソリューション・パッケージ「AIM ビジネス・レディ・ソリューション・パッケージ(AIM BRS)」として提供する。2011年4月からは単体販売も行う。

 VISは、米Dellが9月29日に発表したデータセンター統合管理ソリューションの総称で、Dellにとっては初のソフトウェア事業展開となる。VISの構成要素は「AIM」、サービス管理自動化ソリューション「VIS Self-Service Creator」、インテリジェントサービス管理ソリューション「VIS Director」の3種類で、これらはすべて利用することも、必要なコンポーネントのみ選択して利用することもできる。

 今回提供するAIMは、仮想/物理環境、マルチベンダー環境において、データセンターの ITリソースをプール化して一元管理する。

VISの製品構成AIMの特徴
管理画面例

 AIM管理画面には、実際の物理構成を忠実に再現した図が表示され、例えばブレードサーバーなら、どのサーバーブレードでどんなワークロードが実行されているかが一目で分かる。このツールを使って、一元的なOSプロビジョニング、ワークロードの移動(P2V/V2P/P2P)などが可能。物理サーバー上で稼働する基幹システムを夜間に外部ストレージに退避させ、バッチ処理用の仮想環境を迅速に立ち上げるなど、シンプルなOSの再配置が実現する。

 N+1のHA機能も標準で備わっており、例えば、仮想マシンが落ちた際に即座に空きリソースに再起動させることが可能。物理サーバー間のHAはもちろん、仮想サーバーから物理サーバーへのクラスタリングにも対応するのが特徴。この柔軟なプロビジョニングによってシンプルなDRサイトを構築することも可能だ。

 デモでは、ブレードサーバー上のESX上に即座にWebサーバーを立ち上げる様子と、仮想マシンが突然ダウンしたというシナリオで、即座に空きリソースに再起動される様子が実演された。

デモ。ブレードサーバーがイメージ化して表示されている。左上のESX上に3台の仮想マシンが稼働中。うち1台は予備用としてワークロードがアサインされていない。この予備仮想マシンにWebサーバーを立ち上げる様子が実演された論理構成図に切り替えると、リソースごとの関連性が一目で把握できる

Webサーバーを立ち上げるには、ドラッグ&ドロップでアイコンを配置し、起動ボタンをクリック。あらかじめワークロードの内容に応じてテンプレートを用意しておくことで、簡単な操作でプロビジョニングが行える。例えば、DBのプロビジョニングは物理サーバーに限定したいなどのポリシーも設定可能だものの数秒で3台目の仮想マシンがWebサーバーとして起動した
通常のシステムでLinux HA環境を運用した場合と比べ、コストを約半分に抑えられる

 システムズ・ソリューションズ統括本部 アドバンスド・ソリューション開発本部 ビジネスディベロプメントマネージャの馬場健太郎氏は、「AIMではリソースプールの考え方を採用し、データセンター内のプロビジョニングを劇的にシンプルにする。内蔵HDDやケーブルなどのパーツも大幅に削減できる。このため、通常の環境でHA構成を運用した場合に比べ、サーバー台数を28台から16台に削減するなど、コストを約半分に抑えられるとともに、パーツの削減により故障点を排除し、信頼性も向上できる」とアピールした。

 なお、デルではイージェネラの「PAN System」もOEM提供しているが、「PANはよりミッションクリティカル向けで、主に物理サーバーや基幹システムの管理に訴求する。一方、AIMは物理環境と仮想環境を一元化できるメリットを生かし、両環境を別々のツールで管理している企業などを対象としていく」と説明。

 また、競合他社製品と比べて「オープンな点が最大の優位点。マルチベンダーのハードウェアに対応するほか、仮想化ソフトも種類を問わない。APIも用意されており、例えば、BMC BladeLogic、HP Server Automation、Symantec Altirisなど他社の管理ツールとも連携させることが可能」(馬場氏)とした。

AIM BRSの概要

 国内ではAIM単体での提供に先立ち、必要なハードウェアや導入サービスを組み合わせたソリューションパッケージ「AIM BRS」として発売する。製品・サービスがオールインワンで提供されるため、顧客はシンプルにAIMを導入可能。

 主なコンポーネントには、「Dell PowerEdge M610」×4台、AIM制御用サーバー「Dell PowerEdge M610」×1台、スイッチ「Dell PowerConnect 8024F」×2台、ストレージ「Dell EquallLogic PS610E」×1台、ブレード・シャーシ「Dell PowerEdge M1000e」×1台のハードウェアに加え、AIM V3、基本導入サービス、ハードウェア・ソフトウェアの保守サポートが含まれる。

 価格は、990万円(税別)から。2011年4月からはAIM単体販売も開始する予定。

AIM BRSの構成要素AIM BRSのポイント
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(川島 弘之)
2010/12/16 15:20