NVIDIAとデルがGPUコンピューティングの現状を説明、拡張筐体「C410x」も紹介


 デル株式会社と米NVIDIAは5日、GPUコンピューティングに関する報道向けの説明会を合同で開催。GPUコンピューティングの現状や、デルの製品面での取り組みなどを紹介した。

NVIDIA Tesla Quadro事業部 GPUコンピューティング担当シニア・エンジニアの平野幸彦氏

 NVIDIA Tesla Quadro事業部 GPUコンピューティング担当シニア・エンジニアの平野幸彦氏が引用した、カリフォルニア大学バークレー校のデータによれば、コンピュータのパフォーマンスは1986年あたりから年々50%の増加率で伸びてきたが、2002年あたりからは緩やかになり、20%程度の伸びにとどまっているという。また、この現状で今後も推移すると仮定すると、「50%の増加率で推移した場合と比べ、2021年には100倍のパフォーマンスの開きが出てしまう」とのことで、平野氏は、パフォーマンスの伸びをカバーするための、パラレルコンピューティングの必要性を強調する。

 しかし、CPUの数を増やすのも手だが、計算に特化したGPUをCPUと併用すると、効率的に計算能力が高められることから、NVIDIAでは、CUDA(Compute Unified Device Architecture)プラットフォームをリリース。「APIやライブラリ、ドライバなども含めたプラットフォームをトータルで提供し、GPUコンピューティングを下支えしてきた」。

CPUに加えてGPUを効果的に組み合わせるのがGPUコンピューティングCUDAの構成要素

 また、CUDAのアプリケーションを、NVIDIAのGPUが搭載されていないx86環境でも動作できるようにする「CUDA-x86」をPGIがリリースしたことで、同じCUDA用のコードを、NVIDIA、非NVIDIAの両環境で動かせるようになり、利用性の面でも進歩が見られている。

 業界の動きを見ても、GPUコンピューティングへの取り組みは加速しており、CUDAのダウンロード数は、すでに前年の倍以上に増加したほか、論文の投稿数も前年のおおよそ5倍に増えている状況。「Parallel Computing Toolbox」、分子動力学アプリケーションの「AMBER 11」、構造解析アプリケーションの「ANSYS」など、業界でトップクラスのアプリケーションがCUDAに対応するようになっており、活用の幅が広がっている。

 こうした動きを受けてNVIDIAでも、これまで以上にエコシステムの整備に力を入れており、そうした中でDellとの取り組みも強化しているのだという。平野氏は「枠組みの中で今までなかったのはソリューションプロバイダとの協業だが、Dellとの協業により、この枠組みが完成しつつある」と述べ、この両社の関係強化を歓迎している。

さまざまな分野で活用されているCUDAの活用の広がり
PowerEdge C410x
デル 北アジア地域 公共ソリューション本部 シニアHPCテクノロジストの橋爪信明氏

 一方のデルからは、GPUコンピューティングを活用するための具体的な製品として、「PowerEdge Cシリーズ」サーバー向けの拡張筐体「PowerEdge C410x」が紹介された。

 これは、GPUと電源、ホストとのインターフェイスなどを搭載した筐体に、複数枚のGPUを内蔵できるようにしたもの。CPUは搭載されておらず、あくまでもPowerEdge Cシリーズのサーバー向けの拡張ユニットという位置付けで、1~8台のサーバーを、1~16台のPCI Expressデバイスに接続することができる。

 この製品の特徴は、ユーザーの必要に応じて、接続できるGPUの数を柔軟に変更できる点。1つのサーバーに対しては、最大4つまでのGPUが接続可能になっている。ただし、サーバーとの接続インターフェイスはPCI Express x16(1レーン)になるので、「GPUを増やせば、すべてのアプリケーションにおいて効果的かというと、そういうわけではない」(デル 北アジア地域 公共ソリューション本部 シニアHPCテクノロジストの橋爪信明氏)点には、注意が必要だ。

 また、橋爪氏は現在のGPUコンピューティングの普及度合いについて、「中国ではGPUクラスタがたくさん出てきているし、アプリケーションもどんどん対応してきている。試す時期から、普及時期に入ったと考えている」と言及。「C410xのような拡張筐体を使って、大量にGPUを購入いただくようなお客さまを対象に販売を進める」と述べた。

 なおデルでは、C410xを接続するサーバーとしては、「PowerEdge C6100」を推奨しており、さまざまな構成例を紹介している。

サーバーとC410xとの接続概念図構成例
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