512個のAtomを搭載したSeaMicro製サーバー、ネットワンが販売

iDCの問題を解決する革新アーキテクチャ


 ネットワンシステムズ株式会社は21日、米SeaMicroが開発するデータセンター向けサーバー製品「SM10000」において、世界初となる販売代理店契約を締結し、7月30日より販売すると発表した。


データセンターの抱える問題

 データセンターはいま、「消費電力」と「設置スペース」の問題に悩まされている。

 電力コストは、データセンター運用維持費全体の30%を占めている。サーバー稼動に必要な電力は米国全体の消費電力の1%、年間30億ドル以上に及ぶとされ、Googleも「サーバーの電力コストは、サーバーの購入費用を上回る」と指摘しているほどだ。

 設置スペースの増加も深刻で、特に地価の高い大都市にデータセンターを建設する向きのある日本では、事業者の利益を圧迫する要因となっている。

 SM10000は、マザーボードの部品を90%削減し、主にネットブックで利用される低消費電力のAtomを有効活用するといった革新的なアーキテクチャで、この問題を見事に解決する製品となる。


SM10000の革新的なアーキテクチャ

SM10000

 同製品では、10RU(約45cm)の筐体の中に、512個のAtom、1TBメモリ、ストレージ、スイッチ機能、負荷分散機能、サーバー管理機能を搭載する。データセンターに必要な機器をすべて1台に集約しているのだ。この集約率は、従来の1Uラック型サーバーに置き換えると、実に40U・ラック2本分に相当し、設置スペースを75%削減できるという。

 この集約率を可能にしたのが、マザーボードの部品を90%削減し、クレジットカードサイズを実現した革新的なアーキテクチャだ。マザーボード上には「Atom」「DRAM」「SeaMicro ASIC/FPGA」のみを搭載。70個以上の部品を独自のASIC/FPGAに置き換えたことでサイズを大きく縮小し、13cm×28cmサイズのモジュール1枚に8サーバーを実装することに成功。部品削減とAtomの採用で、消費電力も75%削減した。

マザーボードの部品を90%削減 1枚のモジュールに8つのサーバーを実装

 SM10000に格納される512個のマザーボードは、独自方式により1.2テラビット/秒という超高速スループットで相互接続される。将来的には、ASIC/FPGAに格納されたCPU管理機能と負荷分散機能により、ワークロードを動的に特定のCPUへ割り当てる「DCAT(Dynamic Compute Allocation Technology)」技術もサポート予定。

 同技術では、筐体内に数百単位のCPUプールを作り、アプリケーションの利用率に応じて動的にCPUをプールへ加減することができる。これにより、CPUの利用率をコントロールし、電力消費量あたりの処理速度を最適化するというわけだ。

 また、x86アーキテクチャに対応するため、既存のOS・アプリケーション・管理ツールに手を加えずに導入できるのもメリット。

モジュール群 側面からの様子



開発背景と狙い

【左】ネットワン吉野社長、【右】SeaMicroフェルドマンCEO

 非常に異色の製品だ。一体、どんな開発背景があったのか。なぜ、データセンターにAtomなのか。その狙いについては、SeaMicro CEOのアンドリュー・フェルドマン氏が説明した。

 近年、消費者向け・法人向け、携帯端末・PCを問わず、インターネットを経由したサービスが急増している。これらのサービスにおける演算処理負荷の特徴は、膨大な量で、非常に小さく、それぞれが独立した処理であることだ。

 同氏は「このような負荷が、データセンター内のユーザーセッションを処理するフロントエンドで増加しているが、現在のサーバーはこの状況に適応できていない。なぜなら、従来型のサーバーに搭載された高機能のマルチコアCPUは、少数の、負荷の大きな演算処理に最適化されているからだ。この点でミスマッチが発生し、消費電力や処理速度において非効率な面が出ている」と指摘。

 「そこで、大量のユーザーアクセスを受け付けるフロントエンドのWebサーバーには、Xeon/Opteronよりも電力効率が3.2倍以上も優れるAtomを活用。高負荷な処理が必要な一部のアプリケーションサーバーやデータベースサーバーなどのバックエンド領域には、従来通り、高機能なスケールアップ型サーバーを用いることで、このミスマッチを解消した」。

 負荷の特徴に応じて、適材適所にサーバーを配置する。この考えに基づき、Atomをデータセンターに採り入れることで、圧倒的な集約率を実現し、消費電力と設置スペースというデータセンターの問題を見事解決しているのである。

フロントエンドにAtomベースのスケールアウト型サーバー、バックエンドに高機能CPUのスケールアップ型サーバーを配置することで、データセンターの消費電力と処理速度を最適化 消費電力と設置スペースを75%削減

 この考えを支持し、取り扱いを開始するネットワンでは、(1)ネットワーク事業における差別化、(2)サービス事業の拡充、(3)ユニファイドコミュニケーション事業の促進、(4)データセンター・仮想化事業の促進、の4つの事業戦略のうち、(4)の差別化を図る狙い。

 代表取締役社長の吉野孝行氏は、「消費電力と設置スペースで利益を圧迫されているデータセンターには、何かしらの革新が必要。同製品で、フロントエンドとバックエンドでアーキテクチャをすみ分けることで、この問題が解決できると感じた。当面は、データセンター事業者やISPを対象に拡販し、今後3年間で30億円の売り上げを目指す」と意気込みを語っている。

 価格は最小構成で2335万円から。


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(川島 弘之)
2010/6/21 18:17