レノボ、23型フルHD液晶を搭載したオールインワンデスクトップPC「ThinkCentre M90z」


ThinkCentre M90z All-In-Oneのフレーム・スタンド型

 レノボ・ジャパン株式会社(以下、レノボ)は6月10日、オールインワン型の企業向けデスクトップPC「ThinkCentre M90z All-In-One」(以下、M90z)を発表した。同社のハイエンドデスクトップPC「ThinkCentre M90」をベースに、23型の大画面液晶を搭載した。TopSellerモデルの場合、価格は14万7000円(税別)から。

 M90zは、レノボ初のオールインワンモデルだった「ThinkCentre A70z All-In-One」と比べ、大幅に性能が向上しているのが特徴。CPUは、Core i3-530(2.93GHz)あるいはCore i5-650(3.20GHz)を搭載するほか、最大8GBのDDR3メモリ、最大320GBのHDDや光学ドライブを搭載し、さまざまな用途で利用できる。

 筐体は、フレーム・スタンド型とモニター・スタンド装着型の2種類を用意。いずれも省スペースを実現しながら、1920×1080ドット表示可能なフルHDの23型液晶(光沢なし)による、高い表示能力を備えた。また、Windows 7 Professional搭載のフレーム・スタンド型では、マルチタッチ(光沢あり)モデルも用意されている。

 さらに、学校などでの利用時に要求されるスピーカーを内蔵。一部モデルでは、マルチメディアコミュニケーションで使えるWebカメラ、高性能マイクを搭載する。

 TopSellerモデルはすべてフレーム・スタンド型筐体で、価格は、Core i3-530、インテルQ57 Expressチップセット、2GBメモリ、320GB SATA HDD(7200rpm)、DVDスーパーマルチドライブ、Windows XP Professional(Windows 7 Professionalダウングレード)、インテルCentrino Wireless-N 1000無線LAN、Webカメラといった構成の「スタンダード」が14万7000円(税別)。ここから、CPUをCore i5-650に変更した「ハイエンド」が15万5400円。「ハイエンド」から、液晶をマルチタッチ対応に、OSをWindows 7 Professionalに変更した「マルチタッチ」が16万3800円。

 このほか、企業での情報漏えい対策などの需要に対応した、無線LAN/メディアカードリーダー/Webカメラを搭載しないモデルや、モニター・スタンド装着型筐体などが選べ、細かなカスタマイズも行える「エンタープライズモデル」も用意される。

 インターフェイスは、USB 2.0×6、PS/2ポート×2、シリアル、音声入出力、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T、メディアカードリーダー(一部モデル未装着)などを搭載。さらに、DisplayPort、外部モニター入力(アナログ)を備え、デュアルディスプレイでの利用や、ThinkPadなどのノートPCの液晶ディスプレイとしての利用も可能とした。

マルチディスプレイによる業務生産性向上を訴える

 こうした点について、ビジネス・マネージャー 製品マーケティング デスクトップ製品の大谷光義氏は、「オールインワンモデルでの23型液晶は少し大きいのではないか、という印象を持つかもしれない。しかし、不況で人員が減らされる中で、社員一人一人の生産性を上げるため、クライアントPCなどのハードウェア製品でサポートできる部分がないかと考え、大きいディスプレイによって、少しでも生産性を上げることを経営者は考えているのではないか」と説明。大画面やマルチディスプレイのニーズに応えていくとしている。


急成長するオールインワン市場をキャッチアップ、信頼性にも自信

執行役員・ディレクター ストラテジー&オペレーションズのマット・コドリントン氏
代表取締役社長のロードリック・ラピン氏

 IBMのPCポートフォリオを譲り受けたレノボでは、ThinkPadブランドなどのノートPCは広く認識されているものの、デスクトップPCのThinkCentreについては、そこまで強く認知されていない状況がある。

 しかし、執行役員・ディレクター ストラテジー&オペレーションズのマット・コドリントン氏は「デスクトップの開発や革新性追求も大事だと考えており、デスクトップセグメントの中でも急成長を遂げているオールインワン製品でのリーダーシップ確立を目指す」と、M90zを投入した背景を説明する。

 コドリントン氏が引用したIDCの予測によれば、2010年のオールインワン製品の成長率(ワールドワイド)は、前年比44.4%と高いほか、今後も、継続して高い伸びが予測されており、この市場は、デスクトップPCを展開する上で、外せない市場だ。実際に、レノボが初めて発売したA70zは、SMBから大企業に至るまで好評を得ているとのことで、ノートPCと比べてビジネスとしての立ち上がりが遅い、同社のデスクトップ製品の中では、非常に早期に成長を遂げている。

 しかも、日本市場はもともと省スペース製品へのニーズが高いということもあって、代表取締役社長のロードリック・ラピン氏は、「M90zは日本の法人のお客さまを念頭において開発した製品。日本市場の中で、ここまで省スペースなものはないのではないか。しかも、広く使われているThinkPadと同様、高い品質やデザイン性にも、一切妥協することなく提供する。今後、Windows 7搭載製品への買い替えが進むと考えられているが、その中でも、一番コストパフォーマンスが高い製品ではないか」と述べ、期待を表明する。

 また信頼性については、コドリントン氏も「IBMは製品品質が高いことで知られていた会社だが、買収後も品質改善を続け、時とともに保守交換作業率が低くなっている」と言及。その品質の高さをアピールしていた。

ThinkCentre M90z All-In-One。左がモニター・スタンド装着型、右がフレーム・スタンド型IBMからのPC事業買収後も、着実に品質は向上しているという



関連情報
(石井 一志)
2010/6/10 11:30