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ダイキンと日立、IoTを活用して熟練技術者の技能伝承を支援するシステムを構築

空調機製造現場での実証を10月から開始

 ダイキン工業株式会社(以下、ダイキン)と株式会社日立製作所(以下、日立)は26日、IoTを活用して熟練技術者の技能伝承を支援する次世代生産モデルの確立に向けた協創を、10月から開始すると発表した。

 ダイキンでは、国内外の各拠点における品質の向上・平準化のため、空調機の製造に欠かせないろう付けや旋盤・板金加工、アーク溶接などを基幹技能として、技術者の育成や熟練技能の伝承に取り組んできた。

 日立では、現場作業員の逸脱動作や設備不具合の予兆を検出する画像解析技術を応用して、熟練技術者と訓練者の技能を定量的にデジタル化して比較・評価することで、熟練者の技能をより多くの技術者に効率的に伝承するための支援ができると考え、ダイキンの協力のもと、空調機の製造におけるろう付けプロセスにおいて、作業者の動作や工具の使い方などをデジタル化・モデル化する検証を行ってきた。

 検証では、ろう付けプロセスで収集したデータを、4M(Man、Machine、Material、Method)の観点から解析。作業者の動作や現象のデジタル化・モデル化したシステムを製造現場へ適用できる見通しが得られたとして、熟練技術者と訓練者のろう付け作業の違いを定量的に評価・解析できる「ろう付け技能訓練支援システム」を構築。10月からダイキンの滋賀製作所(滋賀県草津市)の製造現場に導入し、共同で実証を行う。

ろう付け作業(写真左)と画像解析技術を用いたろう付けプロセスのセンシング例(写真右)

 システムでは、ろう付け熟練技術者の手の動きやトーチの角度・角速度、ろう材と母材の供給角度・距離・角速度などの動作や母材の温度変化をカメラやセンサーなどを用いて時系列に収集・デジタル化し、標準動作モデルを構築する。

 同様に、訓練者がろう付け作業を行う際、その動作や現象を収集・デジタル化することで、熟練技術者の標準動作モデルと統計的に比較する。訓練者は、熟練技術者を手本とした、ろう付け作業の定量的な評価が可能となり、より短期間での技能習得や作業の標準化・レベル向上を図ることできる。

ろう付け訓練支援システムの全体イメージ

 共同実証で得た成果をベースに、ダイキンと日立では、ろう付け作業の統一基準を定めてグローバル生産拠点に展開するとともに、監視制御システムや生産設備の情報と統合して解析することで、さらなる品質改善や生産性向上、熟練技術者の育成につなげていく。

 ダイキンと日立は共同で、このシステムを用いた生産モデルの実証を進め、2017度中に製造現場での本格運用を開始するとともに、今後、ダイキンの他の製造工程や国内外の工場への適用拡大を目指す。また、今回の共同実証を第一ステップとして、IoTを用いてグローバル拠点が情報と技術を掛け合わせて協調する、次世代生産モデルの実現に向けた協創を進めていく方針としている。