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NEC、2017年度第1四半期連結業績は増収増益 当期純利益は2008年度以来の黒字化

 日本電気株式会社(以下、NEC)は7月31日、2017年度第1四半期(2017年4月~6月)の連結業績を発表した。

 売上高は前年同期比12.3%増の5824億円、営業損失は前年同期の299億円の赤字から改善したものの、144億円の赤字。税引前利益は336億円の赤字から71億円の黒字に転換。当期純利益は201億円の赤字から、78億円の黒字に転換した。

2017年度第1四半期の連結業績

 NEC 代表取締役執行役員常務兼CFOの川島勇氏は、「第1四半期で最終利益が黒字化したのは、2008年度以来のことになる。その後、リーマンショックの影響を受けたが、収益化させながら進めてきたポートフォリオ改革の効果が出ている。第1四半期は、売上高はパブリックを中心に増加。エンタープライズ以外の各セグメントが増益となった。計画に対しては、売上高で50億円、営業利益で50億円、税引前利益で100億円、当期純利益は70億円上回った」と総括した。

NEC 代表取締役執行役員常務兼CFOの川島勇氏

 なお、日本航空電子工業を連結子会社化で約40億円の利益増加に加えて、NECトーキンの全株式の売却で148億円、ルネサスエレクトロニクスの一部株式売却で43億円の営業外利益を計上している。

 また、「クラウドについては、第1四半期は前年同期比10%増となっており、当社が目指す拡大路線に対応した動きとなっている。SIは、第1四半期は指名停止の影響や、大型案件がなくなったという要素はあるが、細かい案件が増加しており、全体的には悪くはないと考えている」と語った。

セグメント別の概況

 セグメント別業績は、パブリックの売上高は前年同期比49.9%増の1810億円、営業損失は56億円増となったものの5億円の赤字。消防・防災システムが減少した一方で、日本航空電子工業を連結子会社化したことからプラスとなった。「計画に対しては想定通り。日本航空電子工業の連結子会社化を除くと横ばい」とした。

 エンタープライズは、売上高が前年同期比1.5%減の878億円、営業利益は前年同期から7億円減の50億円。「流通、サービス業向けの減少などにより減収。また、IoT関連の投資費用が増加した」という。

パブリックの概況
エンタープライズの概況

 テレコムキャリアは、売上高は前年同期比3.9%増の1233億円、営業損失は前年同期から37億円増となったが、33億円の赤字。「計画に対して売上収益では50億円上振れし、営業損益では約30億円上振れした。国内における投資が想定よりも上振れしているが、これは、国内キャリアの第1四半期における投資が、想定よりも増加していることが影響しており、その反動で第2四半期の投資が減るとみている。一時的な増加と判断している」とした。

 システムプラットフォームは、売上高は前年同期比2.0%増の1532億円、営業損失は前年同期より29億円改善したが17億円の赤字となった。「ハードウェアやサービスの増加などにより増収となった」という。

テレコムキャリアの概況
システムプラットフォームの概況

 その他事業では、売上高が前年同期比7.1%減の371億円、営業損失は前年より23億円改善したが、53億円の赤字となった。「スマートエネルギー事業の減少が影響した」という。

その他事業の概況

通期業績見通しは据え置き

 一方、2017年度の業績見通しはそのまま据え置き、売上高が前年比5.1%増の2兆8000億円、営業利益は同19.5%増の500億円、当期純利益は同9.8%増の300億円としている。

通期業績予想サマリー

 2017年4月に実施した組織再編に伴い、セグメントの内容を一部変更。その他に含まれていた国内地域の営業機能を担う営業統括ユニットとパブリック事業を統合・再編。さらに、パブリック事業の金融機関向け事業をエンタープライズ事業に移管したことで、セグメント別の計画値を変更した。

セグメント変更の狙い

 2017年度通期のセグメント別業績見通しは、パブリックの売上高は前年比19.4%増の9150億円、営業利益は前年から218億円増の550億円。エンタープライズは、売上高が前年比1.6%増の4150億円、営業利益は前年から37億円減の360億円。テレコムキャリアの売上高0.9%減の5950億円、営業利益は前年から49億円増の230億円。システムプラットフォームの売上高は前年比4.8%減の6850億円、営業利益は前年から6億円減の290億円。その他事業では、売上高が前年比11.8%増の1900億円、営業損失は前年から40億円増のマイナス160億円の赤字を見込んでいる。

 「パブリックは、社会公共領域における指名停止の影響で、減少を見込む。また、エンタープライズでは流通、サービス行が向けは減少したが、製造業、金融業向けは増加する。Fintech関連では、これまでのように金融機関への提案だけでなく、流通業界などへと7広がりをみせている。機器だけのビジネスではなく、サービス領域にも広げていきたい」とした。

 NECの川島CFOは、「第1四半期決算は営業赤字の縮小、株式売却益などによる当期利益の黒字化が実現できたが、2017年度は業績予想を着実に達成し、期末配当を継続していくこと、2018年1月に発表する中期経営計画の策定にもしっかりと取り組んでいく」とし、営業利益300億円の達成と、年間6円の配当維持を目指す姿勢を強調した。