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クライアント仮想化導入済み企業の約半数が仮想ワークスペースを導入済み、IDC Japan調査

 IDC Japan株式会社は20日、国内クライアント仮想化市場の動向について、ユーザー調査を分析した結果を発表した。調査対象は、クライアント仮想化を導入した企業(550人)および導入を検討している企業(550人)の経営層、IT管理者、エンドユーザーなど計1100人。

 調査によると、クライアント仮想化導入済み企業の57.3%が仮想ワークスペースを導入しており、クライアント仮想化の導入を検討している企業においても36.4%のユーザー企業がワークスペースを検討している。IDC Japanでは、ユーザー企業は、それぞれの業務に適合したワークスペース戦略を検討する時期に来ていると分析している。

 また、今回の調査対象者全員のうち約4割が、「Windows10 VDI DaaS on Azure」「電子サインの仮想技術の実装」「クラウドページング」など、次世代のテクノロジーに対し関心を示しているという。

 一方、ワークスタイル変革の実施状況はまだ3割ほどだが、「必要性なし」とする企業は1割、「実施後断念」した企業は3%のみで、「大企業」および「金融」「情報サービス」「製造業」などで実施されている割合が高くなっている。IT系のベンチャー企業などの多くは、働き方を能力の高い従業員に委ねている例も多く、柔軟な働き方と責任/結果は深く結び付いていると分析している。

 また、今回の調査では、会社内の組織や人材についても、その課題と現象を分析している。例としては、「硬直化した人事組織」を課題として捉えている従業員の割合は35.7%に上り、「ワークスタイル変革に取り組めない人事/就業規定」「IT部門と事業部門との間のコミュニケーション不足」などが、共通する課題として挙げられると指摘。一方で、「CIOと業務改革責任者などの連携が良好である」と回答したエンドユーザーの割合も30.0%に上り、課題を抱える企業は多い中、徐々にワークスタイル変革にうまく取り組めている企業が一定数いると考えられるとしている。

会社/部門内部における課題(複数回答)(出展:IDC Japan)

 IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「クライアント仮想化導入済み企業の約半数が、ワークスペースを導入している。自社業務に適合したワークスペース戦略を検討する時期に来ている。デジタルトランスフォーメーション(DX)時代を迎え、ワークソースに課題を抱える企業は、組織デザインや部門間のさらなるリレーションが求められている。特に従業員は柔軟な組織を、IT部門は正当な評価を望んでいる」と述べている。