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ネットプロテクションズとキヤノンITSがフィンテック領域で協業、与信審査AIと取引明細データ活用の共同実証実験を本格展開

 未回収リスク保証型後払い決済サービスを提供する株式会社ネットプロテクションズと、キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は19日、フィンテック領域で協業し、ディープラーニングを活用した与信審査AIおよび、言語処理技術を用いた取引明細データ活用の分野における共同実証実験を本格展開すると発表した。

 後払い決済サービスは、ECサイトの支払い手段のひとつで、顧客は商品到着後にネットプロテクションズから届く請求書により、コンビニエンスストアか銀行、郵便局で現金で支払うことができる。

 ネットプロテクションズは、2002年から日本で初めて未回収リスク保証型の後払い決済サービス「NP後払い」の提供を開始。商品購入代金を立て替えるリスクを軽減するため与信システムの改善を進めており、2011年から機械学習による与信判定を開始し、判定の精度向上を図ってきた。

 ネットプロテクションズとキヤノンITSでは、従来の機械学習で利用してきた過去の取引実績情報をベースに、キヤノンITS・R&Dセンター先進技術開発部が独自に開発した「AI開発基盤」環境を用いて、ディープラーニング技術を活用した与信審査AIの実証実験を両社共同で展開した。

 その結果、判定精度が約5倍と大きく改善。今後、さらなる実証実験を繰り返しながら継続的に検証し、与信システム運用環境への実装を計画する。このほか、過去の膨大な取引実績情報を重視しつつも、審査対象取引の情報自体から得られる傾向などを用いて、貸し倒れリスクを算出するという、新たなアプローチの実証実験を共同で展開する。

 また、言語処理技術を用いた取引明細データ活用分野の共同実証実験としては、ネットプロテクションズの過去の取引実績情報(取り扱い商品名、加盟店名)をベースに、キヤノンITS・R&Dセンター言語処理技術部の言語処理技術を活用した実証実験を共同で展開している。

 データクレンジングにより、取引明細のテキストデータから分析可能なデータに加工し、顧客が商品を購入する傾向を把握して購入パターンの類似する顧客間の類似度を分析した。その結果、購入パターンの類似する顧客に対し、顧客が興味を持つと推定される商品を推薦できる可能性を見出したとして、今後は適切な知識(辞書・教師データ)を構築し、顧客と加盟店に対するマーケティング施策の最適化や、データを活用した新たな価値創出を目指す実証実験を共同で行う。

 両社では、今回の2つの実証実験で得られた知見を活用し、ネットプロテクションズが注力する「データ分析」実証実験をさらに加速・拡大し、コア事業である「後払い決済事業」の深化と、新たな事業への展開を含め、継続検討をしていくと説明。今後、より具体的な実証実験を継続しながら、フィンテック領域の最適なシステム開発、システム構築を検討していくとしている。