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クラウドとセキュリティに注力する――、米JuniperラヒムCEO

統合セキュリティ基盤「SDSN」の強化などを発表

 ジュニパーネットワークス株式会社(以下、ジュニパー)は5日、記者会見を開催し、米国本社の最高経営責任者(CEO)であるラミ・ラヒム氏、および日本法人の代表取締役社長である古屋知弘氏が同社の事業戦略を説明した。

米Juniper Networks 最高経営責任者のラミ・ラヒム氏

 Juniper Networksの2016年(会計年度)の売上高は49億9000万ドルで、2期連続の増収を達成した。さらに続く2017年も第1四半期は前年同期比11%増となり、3期連続の増収になる見込みであるという。

 これまで同社では、顧客の業種セグメントを「サービスプロバイダー」と「エンタープライズ」に分けていたが、2016年から新たに「クラウドプロバイダー」の業種セグメントを独立させたという。

 この理由についてラヒム氏は、「投資家はクラウドビジネスにどのように取り組んでいるか注目している。それは、市場の変化にわれわれがどのように対応しているかの指標となっているためだ」と説明する。実際、2017年第1四半期において、クラウドプロバイダー向けのビジネスは前年度期比で25%成長しており、好調な業種であるといえる。

 「Juniper Networksといえばルータというイメージが強いが、近年はデータセンター向けのスイッチのビジネスも順調」と述べたラヒム氏は、スイッチング事業でデータセンター向けQFXファミリーが対前年比50%以上の伸びを示したことを明らかにした。さらに、セキュリティサービス「Software-Defined Secure Networks(SDSN)」などのサービスビジネス事業においても、前年度比14%増と好調であるという。

2016年に続き、2017年第1四半期も順調に成長している

 「当社は、パブリッククラウド/プライベートクラウドの双方を提供できるベストなプロバイダーになることを目指しており、すでに成功している。また、主要な顧客である電気通信事業者は、遅かれ早かれクラウドのデリバリーにシフトしていくことが求められるようになる。その際にサポートできる事業者でありたい」とラヒム氏。

 今後の事業戦略について「短期的には企業のクラウド・トランスフォーメーションに注力し、長期的にはクラウドインフラやセキュリティサービスを強化していく」と説明し、引き続きクラウドおよびセキュリティの分野に積極的に注力していくことを表明している。

 また、これらの戦略に沿って、Juniper Networksでは「パブリック/プライベートクラウド データセンター構築」「ユーザー/デバイスを5G/モバイルサービスやクラウドに接続」「分散型クラウドの構築」「SaaSプロバイダーになる」といった施策を行っていくという。

 日本市場の戦略について「日本のネットワーク市場については、非常にポジティブな印象を持っている」と述べる古屋氏は、「通信インフラ」「セキュリティ」「クラウド移行」「自動化」「IoT」という5つの要素が商機につながると予想している。

事業戦略
ジュニパーの代表取締役社長、古屋知弘氏

 特に通信インフラについては、2020年の東京オリンピックに向け、第5世代(5G)となる携帯電話網や、今後ますます高画質での配信されるであろう動画によるトラフィックの増加など、通信事業者をはじめとする多くの企業が設備投資を行うことが予想される。

 さらに、巧妙化するサイバー攻撃への対応は経営課題となっており、クラウド移行、自動化、IoTに対しても、多くの企業が投資を検討している。

 これらを踏まえ、Juniper Networksは日本市場において、「サービスプロバイダー」「データセンター/クラウド」「エンタープライズ/公共」のマーケットにフォーカスしていくという。

 また古屋氏は「ジュニパーは通信事業者向けにハイエンドな製品を提供するベンダーという印象が強いが、実際にはオープンなアーキテクチャによって、企業や研究機関にも採用されている。ソフトウェアとハードウェアを切り離すことができるため、OpenStackを利用しているケースもある」と製品のオープン性をアピールした。

日本のネットワーク市場の現状と見通し
日本市場への取り組み

統合セキュリティプラットフォーム「SDSN」を強化

 さらに、統合セキュリティプラットフォームである「Software-Defined Secure Networks(SDSN)」についても、強化が発表されている。

 SDSNは、セキュリティアプライアンスの「Juniper SRX」および仮想アプライアンスの「vSRX」、スイッチの「Juniper MX」「Juniper EX/QFX」、ルータの「MXシリーズ」、セキュリティポリシーの運用・可視化・自動化といった管理を行う「Policy Director」「Policy Enforcer」、脅威解析/防御のクラウドサービスである「Juniper Sky Advanced Threat Prevention(ATP)」、脅威インテリジェンスサービスの「Spotlight Secure」を組み合わせて、未知の脅威にもリアルタイムで対応することを目的としている。

統合セキュリティプラットフォーム「Software-Defined Secure Networks(SDSN)」

 今回の機能強化では、新たにCiscoのスイッチをサポートしたほか、Microsoft AzureおよびVMware NSXとの連係を実現するなど防御範囲を拡張している。さらに、ランサムウェアの検知・阻止能力を強化するため、Sky ATPにメール分析機能を追加し、メールによるマルウェア感染のリスクを低減している。

 なお、SDSNは以前よりランサムウェアへの対応を強化しており、「WannaCry」が5月に騒動になった際にも、SDSNを利用している顧客については被害が発生しなかったことを明らかにしている。

SDSNの新機能