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大塚商会の「実践ソリューションフェア2017」開催中 最新テクノロジーをわかりやすく展示することでアピール
2017年2月10日 06:00
2月8日から10日までの3日間、大塚商会は東京・ザ・プリンスパークタワー東京で、「大塚商会 実践ソリューションフェア2017」が開催されている。販売会社である大塚商会の独自イベントで、毎年、この時期に開催され、今回も東京を皮切りに、大阪(2月15日、16日)、名古屋(2月22日、23日)の3カ所で開催される。
メーカーではなく販売会社の展示会ということで、複数のメーカー、ジャンルの商品が一同にそろい、さらに各社の複合機など普段は見比べることがない商品に触れる機会でもある。
今年のテーマは、「ITで育つ元気なオフィス。」。会場には発売前のマイクロソフトの「Surface Studio」をはじめ、複合機のタイムスタンプ機能を使って領収書を登録するソリューションや、LED導入による企業のコスト削減など多彩な展示が並んだ。そこから見えるものは何だろうか。
寸劇から傾向を見る
実践ソリューションフェアのその年の傾向を知るためには、展示会場の入口付近にある、「テーマステージ」で行われる寸劇を見るのが良い。代表的な展示内容を端的に紹介するこの寸劇を見ると、その年に展示されているものの傾向を端的に知ることができるからだ。
今年、テーマステージで紹介されたのは、AI、顔認証、サーバー/パソコンのクラウドバックアップ、情報漏えい対策、複合機を使った国税関係書類のe文書保存など。最新のITソリューションが並ぶ。
最新ソリューションの紹介ではあるが、テーマステージではあくまでもコメディタッチで繰り広げられる寸劇は、小さな会社の二人の従業員がさまざまな課題の解決に、様々なITデバイス、ソリューションが活用できることを紹介していく。この基本設定で、ここ数年変わらない。今年はたよれーる商事のIT推進室長の三浦早苗さんと、営業部の阿部新太郎さんが、笑い混じりに課題を紹介していくという設定だ。
真面目な三浦室長に対し、阿部さんは少しお茶目なキャラクター。会社から支給されたスマートフォンで、利用状況を確認するとYouTubeを見すぎてくる!と注意されたりする。
驚いたのは、今年は冒頭から顔認証、AIが登場したことである。小さな会社のITへの取り組みというと、なかなか最先端テクノロジーとは結びつかないと思いがちだが、阿部さんの「社員証を忘れた」という日常的で、下世話な話題から、ナビゲーターの女性が「人工知能によって社員証がいらなくなる時代が来るかもしれません」と紹介する。最先端テクノロジーはどの会社にも縁がある切り口で紹介していく。社員証がなくても、顔認証を使えば本人確認が行える。
現段階では、社員証を止めて顔認証だけで済ませてしまう会社はないだろうが、人工知能、顔認証といったテクノロジーは日常業務の延長にあるものだとアピールしていくのが興味深い。
人工知能、顔認証はテレビでも取り上げられることが多い技術だが、自社の業務とはすぐには結びつきにくい。今回のデモでは、株式会社アロバの「アロバビューコーロ」の顔認証、リコーの全方位カメラ「THETA S」を使って店舗での顧客認証などにもこうした技術が現段階でも活用できることを紹介し、来場者にとっても最新技術は遠いものではないことをアピールする。
複合機が持っているさまざまなな機能の紹介も行われる。寸劇では「コピー機」という呼称が使われていたが、領収書をスキャンで取り込みタイムスタンプを押す、操作を行うタッチパネル部分を活用することでタイムレコーダーとして利用できる機能などを紹介。もはや、コピー機という呼称は似つかわしくない、サーバー的な機能を持っているのが複合機であることがこのデモを見ているとわかる。複合機のカタログを見て機能を見るよりもわかりやすく伝わる。
とっつきやすい切り口で紹介するお家芸
この新しい技術をとっつきやすい切り口で紹介する手法は、この展示会に限らず、大塚商会のソリューションビジネスの特徴となっている。ソリューションとして提供しているもののネーミングが、「らくらくサーバー管理」、「らくらくファイアウォール」など提供するサービスの前に「らくらく」がつく。ベタなネーミングだが、サーバーの運用などを請け負うサービスに、「らくらく」とつけることで、面倒なことはお任せという印象とすることを狙っている。アルファベットや横文字ではなく、ベタな日本語を提供するサービスの名称に使うことで、利用者に親しみを感じてもらうことが狙い。
同社の代表取締役社長である大塚裕司氏は、「目指しているのは街の電器屋さん。電器製品に関し困ったことがあれば、相談に乗って、修理をしてくれた昔の電器屋さん」と決算会見などで繰り返しアピールしている。ITソリューションに、「らくらく」という商品名をつけることで、まさに街の電器屋さん的な、親しみやすく、IT技術を提供することを目指している。
最近のIT業界は、従来以上に技術進化のスピードが速い。今回、会場を見て人工知能、顔認識といった技術はテーマステージの中にうまく取り入れていたものの、テーマステージの横には主要メーカーのハイパーコンバージドインフラ製品がそのまま展示されていた。他の製品は、製品のジャンルというよりも活用方法が紹介され、その上で各製品が展示されていることが多い。ハイパーコンバージド製品は、そこまで活用シーンがこなれていないということだろうか?と展示コーナーを見ながら考えた。この展示が来年にはどう変化しているのか、変化しないまま展示されているのか、その変化が気になるところだ。
また、今回の会場にはマイクロソフトのSurface Hubが複数台展示されていた。Surface Hub単体を見ているだけではどんな場面で活躍するのか今ひとつ実感できなかったのだが、製造業向けソリューションコーナーでは3D CADを表示するのに利用されていた。3D CADのように大画面に表示することで、確認、手直しといった作業がしやすい、複数拠点からのデータ共有などに活用しやすいことがよくわかる。どんな場面で活躍するのか、活用シーンを紹介していくことでそのデバイスの特性が明らかになる。販売会社の展示会は、そのデバイスがどんな場面で活きるのか、その特性を確認する機会にもなる。
発売前のSurface Studioは、大塚商会からの展示ではなく、日本マイクロソフトがアドビと共同で出していたコーナーに出展されていた。クリエイター向けのデバイスであることから、画像を描く作業での展示が行われていた。これも実際に製品が発売されれば、また、違った活用方法で紹介される可能性もあるだろう。これも来年にはどんな展示となるか、気になるところだ。