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SAP、マップアール、レノボがSAP HANA Vora活用のリファレンスアーキテクチャを発表

Hadoopのインメモリイノベーションの導入をシンプル化

 SAPジャパン株式会社、マップアール・テクノロジーズ株式会社(以下、MapR)、レノボ・ジャパン株式会社(以下、レノボ)は、Hadoop向けのインメモリコンピューティングソフトウェア「SAP HANA Vora」による、ビッグデータ活用のリファレンスアーキテクチャを発表し、その内容をまとめたホワイトペーパーを無償で提供している。

 検証済みのベスト・プラクティスとしてホワイトペーパーにまとめているため、導入プロジェクト時に参照することで、プロジェクト期間の短縮や品質向上に貢献するという。

 なお、今回の検証にはSoR(ystems of Record:従来の基幹業務システム)とSoE(System of Engagement)連携のノウハウを持ったシステムインテグレータの立場から、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(CTC)も参加している。

 今回の発表を受けて開催されたプレスブリーフィングにおいて、レノボ データセンターソリューション事業本部 製品統括本部 ソリューション推進部 部長の早川哲郎氏は、今回の共同発表について次のように述べている。

 「企業におけるビッグデータの活用が注目されている。しかしSoRとSoEを連携するためのシステムを作るのは大変。そこで、難しいものを簡単にすることを目的に、SoRで長年の実績をもったSAP、SoEで実績の高いMapRをHANA Voraで連携するリファレンスアーキテクチャを提供することにした。また、単にアプリケーションレイヤーだけを提供するのではなく、ハードウェアをレノボが、SIをCTCが提供することで、4社によるPoC(Proof of concept)済みの、実績あるプラットフォームを提供することができる」(早川氏)。

レノボ データセンターソリューション事業本部 製品統括本部 ソリューション推進部 部長 早川哲郎氏
4社協業体制

 4社による検証の具体的な内容は、SAPのインメモリプラットフォームであるSAP HANAおよびHANA Vora、レノボの「Lenovo System x Solutions for SAP HANA」のアプライアンスモデル、MapRの「MapRコンバージド・データ・プラットフォーム」および「MapR on Lenovo System x for SAP HANA Vora」を組み合わせたもの。

 CTC 製品・保守事業推進本部 エキスパートエンジニア 後藤真人氏は、検証の背景について次のように述べている。

 「企業においてビッグデータを活用する取り組みが活発化している。しかし、全社統合的なデータ分析プラットフォームを、従来型のデータウェアハウス(DWH)で実現するには、コストなどの問題から難しい。そこでHANA VoraのようなHadoop/Sparkなどの分散データ分析基盤との組み合わせによる最適なシステムとサービスをお客様に提案するため、今回の検証を行った。また、HadoopのディストリビューションはMapR以外にもいくつかあるが、スケーラブルな性能と高可用性の維持に最適化されているMapR独自のアーキテクチャは、HANA Voraと最適な組み合わせだ」(後藤氏)。

CTC 製品・保守事業推進本部 エキスパートエンジニア 後藤真人氏

 データ分析において常に問題になるデータの配置について、後藤氏は「重要度に応じたデータの階層化」を提案している。

 「高い性能を要求するデータはHANAに配置し、利用頻度の少なくなったデータはHadoopや外部のDWHに移動することで、コストと性能を重視したデータプラットフォームが構成できる」(後藤氏)。

 また、MapR アプライアンス&プロダクトマーケティングの三原茂氏も、「大量のデータを分析するために、対象データを移動させるのはすでにナンセンス。データの配置場所を変えることなく、さまざまなデータソースに透過的にアクセスして高度な分析を行うことができる仕組みが重要だ。やっと実現できる環境ができたということが大きい」と述べている。

 なお、この発表が行われた1月31日には、HANA Voraの最新版である、HANA Vora 1.3がリリースされた。SAPジャパン プラットフォーム事業本部 エバンジェリスト SAP HANAプラットフォーム 松舘学氏は「地味なリリース」と謙遜しながら、HANA Voraの最新版である1.3に関して「今回のリリースで、分析の機能を HANA Vora側に持たせたことが一番大きな特徴です。HANAの時系列データ分析やグラフデータ分析をHANA Voraの分散インメモリ―環境で実行できるようになりました」と述べている。

 ただし、今回リファレンスアーキテクチャとして公開されている内容は、Hana Vora 1.2を使用した検証の結果に基づいて作成されているが、今後はHANA Vora 1.3についても検証を進めていく予定であるという。

SAPジャパン プラットフォーム事業本部 エバンジェリスト SAP HANAプラットフォーム 松舘学氏