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国内法人向けタブレット市場、今後はマイナス成長も、製造、金融、サービス業が市場をけん引~IDC Japan

 IDC Japan株式会社は22日、国内法人向けタブレット市場の2016年~2020年における産業分野別予測を発表した。

 法人向け市場のタブレット出荷台数について、2015年~2020年の年間平均成長率はマイナス4.8%と予測している。これは、2015年まで市場をけん引していたB2B2C用途で、タブレットを採用してきた企業の方針変更により、今後新たな大型案件が期待できないことが予測されるためとしている。

 また、企業での業務端末としてのタブレットは、モバイル端末に合わせた見やすい画面設計のアプリケーションの追加などの再設計を行う必要があり、企業にとって新たな費用負担が必要となると指摘。PCの社外持ち出し制限を行っている企業では、タブレットも同様の制限がかけられる可能性が高いと考えられ、業務端末としてのタブレット導入に消極的になっていると考えられるとしている。

国内法人向けタブレット市場 産業分野別 出荷台数予測、2015年~2020年(出典:IDC Japan)

 産業分野別では、製造、金融、サービスの各産業分野において、成長率が高くなると予測。製造業においては、次世代PLM(Product Lifecycle Management)システムにより、生産ラインにタブレットを設置し、設計のマイナーチェンジなどの情報を即時に生産に反映させるなどの市場機会があると考えられ、2015年~2020年の年間平均成長率を9.0%と予測している。

 金融業では、既に生命保険会社を中心にタブレットが導入されているが、2018年以降には買い替え需要などが期待されると考えられ、2015年~2020年の年間平均成長率を7.2%と予測。サービス業では、日本郵便による高齢者向けタブレットや、インターネットプロバイダーなどによるモバイルコンテンツ課金など、ビジネスモデル構築のための端末としてタブレットの導入が進められることが期待され、2015年~2020年の年間平均成長率は4.6%と予測している。

 また、2013年に政府により閣議決定された「第2期教育振興基本計画」では、学校のICT化を進め、授業の革新を推進する方針が出されており、今後は学校(小学校~高校)で、タブレットの活用が進むことが期待されると指摘。計画では、2018年3月までに3.6人の児童生徒数に対して1台のPCまたはタブレットを設置することを目指しており、計画の実現には今後2年間で約140万台のPCまたはタブレットが新たに導入されることが必要となる。

 今後、大量のタブレット導入を進めるためには、タブレット本体のコストを下げることが必要となり、また児童生徒が転校した場合でも、同じオペレーションが求められるとして、このためにはタブレットベンダーと国が協調し、学校タブレットの仕様について、早急に取り組むことが必要であると指摘している。

 IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野浩寿氏は、「企業でのタブレット需要は一巡し、従来からのプレゼンテーション用途に加え、社外からの基幹システムとの連動やこれによる意思決定の速さによる効率的な業務を行う事が求められている。これを実現するためには各企業でのシステムの見直しと共に、ROIなどを使った投資対効果の明示が必要になる」と述べている。