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NTT Com、人工知能によりドライブレコーダーのデータから危険運転を自動検出する技術を開発

 NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)と日本カーソリューションズ株式会社(以下、NCS)は26日、ドライブレコーダーや速度などの車両から取得した各種データを、人工知能(AI)で解析する共同実験により、交通事故の原因となり得る危険な運転を高精度で自動検知することに成功したと発表した。

 NCSは、カーリースを契約している企業に対して、安全運転促進のための自動車IoTツール「NCSドライブドクター」を提供している。このサービスのオプションとして提供している「NCS交通安全プログラム」の映像解析サービスでは、専任スタッフが多くの時間を要しながら、車載器に記録された膨大な映像データの中から、「交通違反」「ヒヤリ・ハット」などの危険運転シーンを抽出し分類する作業を行っている。

 NTT Comでは、2015年より時系列ディープラーニング技術を活用したAIの映像解析への活用に取り組んでおり、これまで警備会社との不審動作・不審者検知実験や、電機メーカーとの広エリアにおける不審者追跡実験などを行ってきた。これらの成果とNTT研究所のAI技術である移動状況推定技術を活用することで、映像や速度などマルチモーダルで時系列なデータから、危険運転を自動で判別し、人が実施する作業をより早く・正確に実施できると考え、両社で実験を開始した。

ヒヤリ・ハット判別に使用する時系列マルチモーダルデータの例

 実験では、「危険運転の対象を自転車などが車両の前面に飛び出してきて、車両と接触しそうになるシーン」を「ヒヤリ・ハットシーン」と設定し、「NCSドライブドクター」から映像データや各種センサーデータ(3軸加速度センサー情報、速度情報など)による時系列なマルチモーダルデータを抽出。対象物がどのような環境でどのような移動をしているかを自動推定する、NTTサービスエボリューション研究所の移動状況推定技術を用いたAIにより、ヒヤリ・ハット判定モデルを生成し、ヒヤリ・ハットシーンが含まれるドライブレコーダーデータを自動検出した。

 これにより、飛び出してくる自転車などとの接触事故となりかねない危険な運転を、約85%の精度で自動検出することに成功。このような「出会い頭」の事故は、交通事故の発生状況のうち「追突」に次いで2番目に多く、約24%を占めるという。

 NTT Comでは、今回の実験で得た時系列なマルチモーダルデータをAI技術により分析する知見を、各種IoTソリューションなどに広く提供していく予定。NCSでは、今回対象とした接触事故につながる運転以外にも、一時停止不履行や信号無視など、法令違反も含めた危険運転データや地域性、時間帯、車種など個別の状況を踏まえた様々なケースの分析を行っており、これらのインシデントを自動検出するために、AIによる自動分析の高度化を検討していく。

 また、両社は、危険運転自動抽出実験で得られた成果をさらに進化させ、交通事故削減ソリューションのサービスの一層の向上を目指すとともに、映像およびセンサー情報のビックデータとAI技術を活用した新たなビジネスの可能性についても検討を進めていく。