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イノベーションを続ける米HP、「企業のNew Style of ITを支援する」~HP APJ Media Summit 2014レポート

HP アジアパシフィック&ジャパン エンタープライズグループ シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャのJim Merritt氏

 米Hewlett-Packard(HP)は2日(現地時間)、インドのムンバイにてアジア太平洋地域のメディア向けイベント「HP APJ Media Summit 2014」を開幕した。初日の基調講演では、HP アジアパシフィック&ジャパン エンタープライズグループ シニアバイスプレジデント 兼 ゼネラルマネージャで、日本HPの社長執行役員を兼任するJim Merritt氏が、同社の推進する「New Style of IT」を説明し、すべての企業がNew Style of ITに変革すべきだと強調。HPが企業の変革を支援できるとした。

 Merritt氏は、「いまITの世界では、クラウド、モバイル、ビッグデータ、セキュリティという4つのトレンドが起こっている。このトレンドを活用して企業は変革しなくてはならない。それがNew Style of IT戦略で、これまでサイロで縦割りだったITから、ハイブリッドで柔軟性のある自動化されたITに変えていくということだ」と述べている。

 その上でMerritt氏は、今年75周年を迎えたHPについて「HP自身も変革を続けてきた。経営層も入れ替わり、顧客やパートナーとの関係もより密接になった。しかし、その中でずっと変わらないものがある。それはイノベーション精神だ」と強調、「イノベーションこそが、HPが他社と差別化できる要素なのだ」とした。

 New Style of ITを推進する中で、HPのイノベーションの形を示したのが、6月に開催した同社の年次イベント「HP Discover 2014」で発表した「The Machine」だ。

 「データが破壊的に増え、それらを効率的に管理する必要がある一方で、基本的なコンピュータアーキテクチャはずっと変わっていない。データセンターの電力使用量も増える一方だ。HPはThe Machineで、こうした課題を解決する新たな技術を提供する」(Merritt氏)

 Merritt氏によると、特定のワークロードを各コンピュータコアに割り当てるという「HP Moonshot System」はその最初のステップだったという。この次のステップとなるのがThe Machineだ。The Machineは、フォトニクスを採用することで発熱を抑え、ユニバーサルメモリープールを使ってストレージやメモリの層をなくし、全体のパフォーマンスを改善する新たなアーキテクチャだという。「この技術を今後4~5年で実現する」とMerritt氏は述べた。

HPのイノベーションの歴史を振り返るMerritt氏

New Style of ITを支援するサービスの登場

HP アジアパシフィック&ジャパン HPエンタープライズサービス部門 シニアバイスプレジデントのBruce Dahlgren氏

 Merritt氏の次に登壇したHP アジアパシフィック&ジャパン HPエンタープライズサービス部門 シニアバイスプレジデントのBruce Dahlgren氏は、具体的に企業がNew Style of ITに変革するための新たな施策を発表した。それは、同社の提供する「HPアドバイザリーサービス」を拡充したコンサルティングサービスだ。

 「企業はNew Style of ITに移行したいと考えてるが、どこからはじめていいのかわからないという悩みを抱えている。そこで新たなHPアドバイザリーサービスでは、企業がNew Style of ITに向かうためのアドバイスから始め、目標に向けた変革とその後のIT管理までを含めて支援する」とDahlgren氏は説明している。

 具体的には、まず事前に設定した事業目標を達成するため、ガバナンスの枠組みを定めたアプローチにより、変革への戦略とロードマップを策定する。その上で、「アプリケーションのモダナイゼーションとクラウド」、「モビリティ」、「分析」、「セキュリティ」といった各分野における戦略策定や支援を行っていくという。

 同サービスを提供するにあたり、HPではIDCとも協力していくという。IDCでは、独立した第三者機関として企業のさまざまな分野における成熟度レベルを調査しているが、HPアドバイザリーサービスを提供するにあたっては「まずIDCに顧客のNew Style of ITの成熟度を調査してもらい、その結果を基にHPが具体的なコンサルティングを提供する」とDahlgren氏。IDCの事前調査が加わることで、「HPとしてもより的確なサービスが提供できる」としている。

 Dahlgren氏は、「企業全体のITコストの中で、メンテナンスや管理といった固定コストはいまだに60~80%を占めている。この固定費を35~50%程度に抑えることで、イノベーションや研究開発、変革のためにITコストを費やすことができるのだ。今回のアドバイザリーサービスにより、企業の変革を支援できると考えている」と述べた。

沙倉 芽生