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【SDN Japanレポート】OpenFlowの生みの親が語るSDN開発の経緯や意義 (オープンソースの分散ネットワークOSを開発するON.LAB)
(2013/9/24 06:00)
オープンソースの分散ネットワークOSを開発するON.LAB
もう一つの基調講演として、Guru Parulkar氏(ON.LAB/スタンフォード大学)が「Accelerate SDN Adoption with Open Source SDN Control Plane」として登壇した。
Parulkar氏は、「なぜSDNの採用が進まないか」と問題を提起し、「いまのネットワークはほんの数社の大手ベンダーのもとにあり、ネットワーク管理者もベンダーに依存している。大手ベンダは既存の大きな箱にSDNを追加するので、垂直構造は変わらず、なにもシンプルにならないため、コストは削減されない」と論じた。
そして、「コモディティ化されたフォワーディングレーンと、オープンソースの分散コントロールプレーンが作られれば、採用が進むだろう」とし、後者の取り組みとして、氏のON.LABで推進する「ONOS」プロジェクトを紹介した。
ONOSは「オープンソースの分散ネットワークOS」で、2012年の夏にプロジェクトが開始した。基本的な要素として、スケールアウト設計やフォールトトレランス、グローバルなネットワーク表示などがあるという。構成要素としては、分散データベースのApache Cassandra、グラフ型データベースのTitan、設定情報などを管理するApache ZooKeeperが採用されている。講演では、ONOSのデモとして、北米のWANでONOSを動作させたときの画像も紹介された。
プロジェクト得た教訓としては、スケールアウトと高可用性が重要であること、ネットワークグラフは有望なnorth-bound(アプリケーションからコントローラへのAPI)であること、既存のオープンソース製品ではパフォーマンスを出すのが難しいことが語られた。
Parulkar氏は最後に改めて、いままでのネットワーク管理者の大手ベンダーへの依存を断ちきり、チャレンジを厭(いと)わないベンダーと技術上の問題に取り組むネットワーク管理者によって、SDNの採用を加速させられるだろうと語って講演を締めくくった。