仮想化道場

NVMeフラッシュメモリで高いパフォーマンスを出す13世代のDell PowerEdge

 昨年9月に発表されたDell PowerEdgeサーバーの13世代は、IntelのXeon E5 v3シリーズ(Haswell世代)を搭載した、非常にパワフルなサーバーだ。今回は、デルからPowerEdge R630をお借りできたので、製品レビューをお届けする。

パワフルなCPUパワーと高い管理性を持つ13世代のPowerEdge

 昨年発表された、13世代のPowerEdgeサーバーは、Xeon E5 v3シリーズのプロセッサを採用し、多数のCPUコア(1プロセッサあたり最大18コア)と、DDR4を使用した高速メモリにより、非常に高いパフォーマンスを発揮できる2ソケットサーバーだ。

 製品ラインアップとしては、1U/2Uラックサーバーだけでなく、5Uのタワーサーバー(PowerEdge T630)も用意されている。

2014年秋に発表された第13世代のPowerEdgeサーバー。1U/2Uラック型と、タワー型サーバーが用意されている。
第13世代のPowerEdgeサーバーでは、NVMeフラッシュストレージの採用、DDR4メモリの採用以外にも、外気冷却に対応したFreshAir2.0などが用意されている
第13世代PowerEdgeの特徴。Xeon E5-2600 v3シリーズを採用し、メモリもDDR4に変更されている。最大の特徴は、NVMeフラッシュストレージの採用だ
クラウドやビッグデータ、VDIなど、さまざまな用途にマッチしたモデルが用意されている

 この中で、筆者は特に、1UサーバーのPowerEdge R630に注目している。

 これまで多くのデータセンサーでは、拡張性を考えた場合、2Uサーバーが採用されていた。これはメモリや内部ストレージの拡張性などにおいて、1Uサーバーは2Uサーバーに比べると今一つという状況だったからだ。

 しかし、13世代の1UサーバーであるPowerEdge R630は、Intel Xeon E5-2600 v3シリーズを2ソケット搭載しながら、1Uサーバーのサイズに収まっている。プロセッサにXeon E5-2699 v3(2.3GHz、TDP145W)を使用すれば、36コア/64スレッド(18コア×2プロセッサ)という1Uサーバーとしては、高い性能を実現している。

 その分、拡張性などが犠牲になっているかといえば、そういうことはない。メモリはDDR4が24本挿せ、最大768GB(今後128GBメモリにより最大容量3TBをサポートする予定)まで搭載できる。PCI Express(PCIe)などの拡張カードも最大3スロット(モデルよって2スロット)用意されている(ただし、拡張カードとしてはハーフレングス/ハーフハイトなどになる)。

 ストレージインターフェイスに関しては、デルのRAIDコントローラPERCを内蔵するほか、専用のネットワークユニットにより、Gigabit Ethernet(GbE)/10GbEといったEthernet、8Gbps/16Gbpsのファイバチャネル、10Gbps/40GbpsのInfiniBandカードなど、サーバーとして必要になるI/Oインターフェイスはほとんどカバーできるという。

 ストレージに関しては、2.5インチSAS/SATAドライブを最大10台、もしくは1.8インチのSATAドライブを最大24台収容できるシャーシが用意されている。サーバーで1.8インチドライブを採用しているのは珍しい。今後、I/Oが必要な用途ではドライブの中心がSSDになっていくため、場合によっては、2.5インチから1.8インチへと移行していくのだろう。

1UのPowerEdge R630は、2.5インチドライブだけでなく、1.8インチドライブを使用するシャーシも用意されている
2Uのサーバーとして、R730とR730xdが用意されている。R730は、16台の2.5インチドライブが搭載できる。GPUカードもダブルワイド(2スロット)を2枚、もしくはシングルワイド(1スロット)を4枚搭載できる
2UのR730xdは、フロントとリアにHDD/SSDが搭載できるため、データベース、Hadoopなどのビッグデータ、Software Defined Storage(SDS)に向けたサーバーといえる

NVMe仕様のSSDドライブをサポート

 13世代PowerEdgeの最大の特徴は、NVMe仕様のSSDドライブをサポートしていることだろう。最大4台のNVMeのSSDドライブを収容できる。

 NVMeのSSDは、SATAやSASではなく、PCIe Gen3 x4で接続されている。このため、最大32Gbps(理論値)と6Gbps SATAの5倍以上の性能を実現している。

 また、今までのPCIeフラッシュストレージは、サーバーの背面に拡張カードとしてインストールするため、メンテナンスなどもやりにくかった。しかしデルのNVMe SSDは、2.5インチフォームファクタ(SFF-8639コネクタ)を採用しているため、フロントベイに挿すことができる。これにより、メンテナンスなどもやりやすくなる。

第13世代のPowerEdgeでは、DDR4メモリとNVMeフラッシュストレージを採用することで、高いパフォーマンスを実現する

 このほか、新しい電源ユニットを開発することで、コンパクトであっても冗長構成の電源ユニット(PSU)を搭載している。

 このように、フル機能を持つサーバーでありながら、1Uというコンパクトなサイズになっているのは、新しいXeon E5 v3プロセッサやDDR4メモリの省電力性が生きているからだろう。

 さらに、13世代のPowerEdgeは、FreshAir 2.0をサポートすることで、通常時の40℃までという条件に加えて、年間の1%の時間(約85時間)まで45℃での動作を保証している。これにより、外気冷却のデータセンター、コンテナ型のデータセンターでの運用がやりやすくなる。一定時間でも高い温度で動かすことをメーカーが保証の範囲内としてくれれば、データセンターの冷却をフレキシブルに運用することができるだろう。

(山本 雅史)