「情報分析」と「行動」を直結させるBI

Part 1:技術進歩がもたらすBI新時代の幕開け


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現状把握から将来予測へ高速分析で意思決定を支援

 ここ1~2年、高性能のDWHアプライアンスやインメモリーDBといった技術が続々と登場し、 企業内でペタバイト級のデータを扱えるようになった。これに伴い、データ活用の姿が変わろうとしている。 経営層や現場担当者を含むユーザーが、共通のデータソース上にある膨大かつ新鮮なデータを様々な切り口で分析。 そこから得た知見を、業務上の意思決定に即座に生かす。そんなBI新時代の幕開けである。

 ビジネス環境が変化する兆候をとらえて次の一手を打つ。そのための強力なツールとして、BI(ビジネスインテリジェンス)に再び注目が集まっている。「BIに対する関心は高い。具体的な製品を指名して提案を依頼してくる企業も多い」。こう話すのは、CognosやBusinessObjectsといったスイート製品のほか、ActuateやPentahoなどOSSを用いたBIシステム構築を手がけるPro-SPIREの尾崎克孝執行役員 サービスインテグレーション事業部長である。

 尾崎氏はさらに、ユーザー企業のニーズの変化について「従来、BIは売上や仕入れといったデータを抽出して定型帳票を作成し、『何が起きたか』『なぜ起きたか』といった過去を見る用途がほとんどだった。しかしここ1年は、『何が売れるか』や『どこに経営資源を投資すべきか』といった仮説を得るために BIを導入したいという引き合いが増えている」と語る。アクセンチュアの後藤洋介パートナーは、BIの方向性を「レポーティングやダッシュボードといった現状把握型の既存機能に加えて、データマイニング技術による将来予測を取り込み、ビジネスアナリティクス(BA)へと発展していく」と見る。

 ゴルフダイジェスト・オンラインの取り組みは、その先駆けである。同社は今、企業活動における問題の発生や予兆を素早く把握する「クイックPDCA」の実現に向けて、BIを導入中だ。

 

リアルタイムに近づく分析スピード

 こうした動きの背景には、競争がし烈さを増す中で、少しでも顧客サービスの向上や競争優位につなげたいという、ユーザー企業の切実な思いがある。「コストダウンは今後も必要だが、それだけでは限界。売り上げや利益の増加につながる施策が求められている。そのためにあらゆるデータを分析し、経営的な価値を生み出していく必要がある」(アクセンチュアの後藤氏)。

 これをITの進化が後押しする。DWH機能に特化して性能向上を図ったアプライアンス機やインメモリーのデータ処理技術、Hadoopに代表される大規模データの分散処理技術などだ。これにより企業が収集・蓄積しながらも、システム性能の限界から活用しきれずにいた膨大なデータを分析できるようになった。「こうした最新技術を使えば、システム性能は従来の数十倍に跳ね上がる。今までは月次や週次でバッチ処理していた分析を、毎日実施できるわけだ。担当者は、より鮮度の高いデータを業務に生かせるようになる」(ガートナー ジャパン リサーチ部門の堀内秀明バイス プレジデント)。

 中堅企業へのBI普及も加速しそうだ。米国では、SaaSやOSSといった技術を利用して、より手軽かつ安価にBIを利用するユーザーが増えている。

 言うまでもなくBIは90年代からの“古い”IT課題だ。しかし今日のBIは生き残りをかけた真剣勝負のためのツール。データガバナンス体制の確立も含め、BIに本腰を入れて取り組むべき時が到来した。

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2011/4/19 06:00