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米政府 vs 技術企業 メッセンジャーデータ提供をめぐる攻防

 米政府機関が犯罪捜査を理由に、サービス企業が提供しているメッセンジャーやメールへのアクセスを要求していたことが明らかになった。iPhoneのテキストメッセンジャー「iMessage」へのアクセスの要求を受けたAppleは、技術的に無理だとして、これを拒否したという。新しいコミュニケーション手段をめぐる攻防が展開されている。

iMessageへのリアルタイムアクセスを要求

 政府の情報提供の要求はNew York Timesが報じた。それによると、米司法省(DoJ)がドラッグと銃に関連した犯罪の捜査で、被疑者が利用しているiMessageでのやりとりにリアルタイムでアクセスできるよう裁判所命令を請求。これに対し、AppleはiMessageシステムが暗号化されているため命令には応じられないと回答したという。司法省内では、Appleと法廷で争おうとする動きもあったが、結局、請求は取り下げたという。

 New York Timesの取材に対してApple側はコメントしなかったが、CEOのTim Cook氏は今年に入って、デジタルプライバシーに関連したカンファレンスで、「(政府が要求するような)アクセスを認めると、ハッカーに悪用される可能性を生み、ユーザーのプライバシーを損なうことになる」との見解を示したと記事は指摘。またCook氏は「警官のためにマットの下にカギを置いておくと、泥棒が見つけてしまう可能性がある」と述べたという。

 New York Timesはさらにもう1件、政府機関とMicrosoftとの闘いも報じている。Microsoftは2013年12月、ドラッグ関連の捜査で要求された電子メール情報を提出しなかったことで米政府と法廷で争った。

 Microsoft側の主張は、データはアイルランド・ダブリンにある同社のサーバー内にあり、データ引き渡しにはアイルランドの裁判所命令が必要、というものだ。米政府はこれに対し、企業が電子メールの記録を管理している以上、データの場所は関係無いと主張。連邦地区裁判所は政府側の主張を認める判断を下した。

 Microsoftの法務顧問Brad Smith氏は、自国の法律が適用されることを望んでいるとしながら、「ユーザーは自分のデータにどの法律が適用されるのかを知りたいと思っている」と主張の意味を説明。そして「他国の政府が米政府に通知せずに米国のデータセンターにアクセスしたらどう思うだろうか?」と述べ、米国政府の要求はむちゃなものであるとの考えを示した。

(岡田陽子=Infostand)