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「あなたが配達人」 Amazonの配達クラウドソース

少しでも安く、そして速く

 配送を専門の配送事業者ではなく、一般の人に任せることのメリットは何だろう。WSJはショッピング体験と、配送料など出荷コストにあるとする。Amazonの出荷コストは年間31%増で膨張を続けており、売り上げを上回るペースという。こんな中で、「Amazonはこれまで以上にショッピング体験をコントロールでき、出荷にかかるコストを抑えることができるかもしれない」とWSJは指摘する。

 だが、この仕組みには課題も多い。SJ Consulting Groupの調べでは、Amazonは1日に350万点の商品を出荷しており、これほどの配達人を確保するのは大変だ。

 もちろん、同社は、これまでもさまざまな試みを行ってきた。例えば2014年、Uberやほかのタクシー業者とサンフランシスコで、限定的に1点5ドルの料金で配送する実験を実施した。また小売りの7-Elevenとは、店舗のロッカー利用で提携している。「AmazonはUPSに対抗するために自社のネットワークを構築しており、Postal Service for Sunday(UPSとの提携による日曜日の配送)やAmazonFresh(早朝の食料品配達)も提供している」とWSJは指摘する。高速化では、ほかにも、自転車メッセンジャーを利用して1時間で商品が届く有料会員のPrime向けサービス「Prime Now」などがある。

 同日配達ではライバルも多い。Googleも「Google Express」を、eBayは「eBay Now」を発表している。オンラインで食料品から高級品までなんでも買える時代だ。実店舗との最大の差は配達といってよいだろう。その場で手に入る実店舗に勝つには、配達の高速化は欠かせない。実際、この分野は、Postmates、Instacartなど同日配達を売りにしたベンチャーが登場しており、アイデアが次々と生まれている。

(岡田陽子=Infostand)