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“9ドルコンピューター”の衝撃 クラウドファンドに飛び出した「CHIP」

シングルボードコンピューターの隆盛

 CHIPのようなプログラマブルな「シングルボードコンピューター」(SBC)はテクノロジーマニアの間で一大ブームになっている。英Raspberry Pi Foundationの「Raspberry Pi」は2012年はじめの発売以来、世界で500万台超を売った大ヒットだ。ほかに、Texas Instrumentsの「BeagleBone」、イタリア生まれのオープンソースハードウェアの草分け「Arduino」などの製品がシステム開発者からホビイストまで人気を集めている。

 また、Kickstarter上には、多くの新しいSBCのプロジェクトが立ち上がっている。Arduinoとのハードウェア互換の「UDOO Neo」、Raspberry Piの4分の1サイズの「Onion Omega」など、新しいアイデアを盛り込んだ製品が続々公開されてきた。CHIPは、その中でも群を抜く安さでファンの心をつかんだ。

 i-programmerは、CHIPが2つの点で革命的と指摘する。一つは「IoT(モノのインターネット)」、もう一つは「アプライアンスとしてのコンピューター」だ。

 まずCHIPはIoT端末として魅力的だ。バッテリーが利用できるSBCにWi-Fi接続機能を統合しながら9ドルという価格に抑えてあり、使い捨てのセンサーを構築できる。基本的な部分は最初から備えているので、開発者はあまりコストに縛られず、必要な追加機能を選べるという。

 アプライアンスとしてのコンピューターとしては、気軽に取り換えできることだ。問題があったら、すぐ別のハードに取り換えればいい。教育用コンピューター、個人用のメディアサーバーやVPNサーバーなど、パーソナルコンピューティングから、パーソナル“使い捨て”コンピューティングへの道を開くという。それは「高級手工ペンからボールペンへと移行していったような変化」という。

(行宮翔太=Infostand)