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Dropbox、Box、Amazon、法人向けクラウドストレージサービス

 オンラインストレージ分野の競争が過熱している。キーワードは「ビジネス」だ。この分野では、コンシューマーの人気を集めたDropbox、先駆け的なBox、それにMicrosoftやGoogleが価格競争を展開している。そこに強敵が名乗りを上げた。開発者やIT管理者向けのクラウドで人気を確立したAmazonだ。

ユーザー数3億人、利用企業8万社のDropbox

 Dropboxは7月24日、法人向けサービス「Dropbox for Business」に最新機能を追加した。強化の中心はプライバシー、セキュリティ、コラボレーションで、例えば、パスワード、共有リンクへの有効期限設定、共有フォルダでの閲覧のみ・編集不可設定などのプライバシー/セキュリティ機能が加わった。

 コラボレーションでは「Microsoft Office」との連携を強化し、共有フォルダ内でOfficeファイルの作業状況を把握することなどが可能になる。また従来はファイル名のみだった検索機能に加え、全文検索機能を導入する予定だ。同時に開発者向けの機能として、Dropboxを利用したアプリを開発できるようShared Folder API、Document Preview APIなどのAPIも公開した。

 Dropbox for Businessは、同社が2013年秋にベータ版を発表した法人向けサービスだ。無料で2GBまで利用できる「Basic」、月額9.99ドルで100GBから、49.99ドルで500GBまで選択できる「Pro」をそろえる。成功したサービスのコンシューマライゼーションの話題では必ずと言っていいほど例に挙がるDropboxだが、法人分野への拡大は必須と言われていた。Dropbox for Businessはそれに答えるもであり、コンシューマー向けのDropboxとDropbox for Businessと2つのアカウントの使い分け機能も持っている。

 Dropboxは一連の機能とともに、法人向けサービスのユーザー数がすでに8万社に達したことも発表した。ユーザー数はこの1年半で200%以上伸びて3億人になり、毎日10億件のファイルがアップロードされている。コンシューマー向けと法人向けを合わせるとFortune 500企業の97%がDropboxを使っているという。

 並行して国際展開も進めている。ユーザーの7割が米国外からであり、米国の次の大市場である英国にオフィスを立ち上げた。今後、日本やオーストラリアにも拡大する計画だ。キャリアとの提携戦略も進めており、7月中旬に発表した欧州最大のDeutsche Telekomとの提携では、同社の無線通信キャリア事業「T-Mobile」の一部市場で、Android端末にDropboxアプリをプリインストールして提供する予定だ。

(岡田陽子=Infostand)